恭一郎の帰還
恭一郎がなぜか待っていた。
なぜだろう。そんな疑問を持っていたが、恭一郎は深呼吸を数回した後、頭を下げた。
「ごめん。俺が悪かった。だからまた非モテ集団に入れてくれ」
と、言ってきた。
もちろん俺は構わないんだけど、どういう心境の変化があったのだろう。てっきり俺は俺のせいで恭一郎が壊れたと思っていたが。
呆気に取られている俺らを尻目に恭一郎は話を続ける。
「俺はお前らがうらやましい。それは今でも同じだ。けど、お前らといないと俺は本気を出せない。そんな気がするんだよ」
恭一郎の視線はあちらこちらに動いていた。
「俺が勝手に出ていって、そして今また入らせてほしいというのは自分勝手だってことはわかってる。いまさら何を言うかと、俺自身そう思う」
恭一郎は拳を握り締めていた。
うつむきがちだった恭一郎は俺らのほうを向く。恭一郎の眼尻には涙が溜まっていた。
「でも、また入れてほしい。俺はやっぱりお前らと一緒にいたい。抜けるっていうのは取り消しにできないか? 頼むからいれてくれ。贖罪ならなんでもする。お前らの恋を俺が全身全霊応援しようと思う。だから、またお前らと一緒につるみたい」
俺らは何も言わなかった。
光も、隆も驚いているのだろう。空は何が何だかわかっていない様子で俺と恭一郎を交互に見ていた。
「ダメか。久太。隆。光」
俺に答えを求めてくる。
俺はもちろん首を横に振った。
「ダメなわけ、ねえけど……」
「突然なんででござる?」
隆は手を止めた。
恭一郎は、隆に聞かれた答えを言う。
「昨日、寂しかった。お前らと話さないだけで、一日の時間が多く感じた。まるで無限地獄に落ちてるような気分だった」
恭一郎は涙をぬぐう。
「その時考えたんだよ。俺ってやっぱお前らいないとダメだなって」
どうやら、寂しいと感じていたのは俺だけじゃなかった。恭一郎もだった。
お互い、ヘンなところは似る。
「だから、今日、謝りに来た。今日来ないと、後回しにしそうで。俺はそれ嫌だった」
恭一郎は変なところ真面目だから。
悪いと思っていればすぐに謝る。自分に厳しく、他人に甘い。そういう人間だし、わがままな人間だ。だけど、楽しいことは確かだし、恭一郎は善人には変わりない。
「妙なとこで真面目なんだな新田は」
妹尾のツッコミが入った。
「そうか。うん。恭一郎はそういう人間だよな」
みょうなとこで真面目な人間。
たしかに当てはまる。
「俺は許すよ。もちろん。隆たちは?」
「拙者は別に構わないどころか戻ってきて嬉しいでござる!}
「やっぱり俺ら五人そろって非モテ集団っすからね!!」
あ、今度はちゃんと小寄も入れられてる。
最近短くて申し訳ないです……。作者ちょっと現実のほうで追い込まれていまして。
そして、明日の更新はないです。申し訳ございません。




