思索してもいまだ答えは見つからず
――なんだか寂しい。
あいつらと決別してから、とても寂しい気持ちでいっぱいだった。俺はあいつらと一緒にいたい。そう思っていると、店員が誰かを叱っている声が聞こえる。
まあ、どっかのバカなやつがなにかをしているのだろう。そう思って俺は見向きもしなかった。
「ああやって別れたのも、すべて俺のわがままだよな。モテないからってひがんでただけで、あいつらは何も悪くねえよな」
冷静に考えてみるとそうだ。
俺が悪くて、あいつらに悪いところなんてなにもない。俺の嫉妬が暴走した結果。そういうものなのだろう。あいつらには悪いことしたな。
今謝ったら許してもらえないだろうか。
……いくらなんでもこれは自分勝手すぎるか。俺は非モテ集団を抜けた身。都合がよすぎるか。
都合いいことしか言わない俺って最低なやつだよ。俺はあいつらに勝手に嫉妬して、勝手に目の敵にして、挙句には仲を戻したいとか。自分勝手だ。そんなものあいつらが許しても俺は許さない。
でも、あいつらに一言謝るくらいはしたほうがいいだろう。
あいつらは優しいから、きっと許してくれる。でも、俺は自分を許さない。自分勝手なやつだ。俺は自分が嫌いになったよ。
何をしてるんだろう俺は。この期に及んで何をほざいているのだろう。
ここは俺にけじめをつけるしかないか? 例えば俺の好きなゲームを全部売却とか。それとも全クリしたゲームのセーブデータを全部消去? あ、ゲームハードを売却すれば?
……いや、あいつらにお詫びの品をもっていったほうが喜ぶだろう。
でも、それだけで俺の罪は許されない。
俺は許されるべきじゃない。ここは久太にいって自分に罰を与えてもらおう。そのほうがいい。自分で罰を決めると甘くなりそうだからな。ここは決めてもらうのは久太しかいねえな。
……でも、久太も俺には甘くなりそうだなあ。罰にはならなさそうな罰を与えてきそうだ。
どうしたらいいんだろう。俺の罪を罰するにはどうしたらいいのだろう。
俺はゲーム売り場でずっと考えていた。
すると、また店員の呆れた声が聞こえる。なにをしているのだろうか。なにがあったのだろう。気になるが今は俺の問題のほうが先決だ。
「とりあえず謝ることは確定してるとして、お詫びの品贈るか」
思い返せば久太だって自分の金をはたいてまで俺を助けに来てくれたことがある。
それに報いなければな。恩もあるし、罪咎もある。咎められるべき俺にも多分頭を悩ませているのだと思う。久太は多分誰よりも優しいから。
「後他に何ができるか」
あいつらのために。あいつらの恋のために。
俺は何ができるのだろう。モテない俺はモテないなりに何ができるのだ?
まず、隆とヴァレンタイン。ヴァレンタインは外国人だから日本の文化に詳しくはない(と思う)。だから隆に日本の文化を教えてエスコートさせれば仲は深まるのではないか?
そして光はまず宮古と付き合え。宮古はお前のこと好きなんだし、お前も都のことが好きそうだから。相思相愛だろ。
まあ、この二人はまあいい。問題は久太だ。
久太は学校一の美少女である西園寺と付き合っている。久太もイケメンで美男美女のカップルってことで学校では有名である。
その二人の仲を深めるためにどうしたらいいのだろう。俺が敵になるか? 俺が敵になるとちっぽけすぎるか?
物語には明確な敵が必要だ。俺が敵になればうまく仲が深まったり……。
でも俺は敵になりたくないなあ。どうしたらいいのだろう。
考えていたら閉店間際の時間だ。
夜の十一時。時間にして七時間くらい悩んでいた。悩みすぎなのも俺の欠点だな。
「はあ。結局考えはまとまらずじまいか」
七時間の思索でも結論はつかなかった。
俺はどうしたらいい。久太のために。あいつらのために俺ができることは恋の応援ぐらいしかないことに気が付いた。
だけど、俺程度の支えでは何も変わらないと思う。
俺はため息をついて、家に帰った。
家では母さんは寝ており、俺も部屋に戻る。
そして、自分の部屋で一日中考えこんでいると、気が付くと朝日が昇っていた。




