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西園寺さんと俺の家族

俺の家へと向かう道。

俺は彼女である西園寺さんと一緒に向かっていた。彼女を連れてくるよう命じられたからね。


「久太くんの妹さんってどんな子なの?」

「俺の妹?俺の妹はお世辞なく可愛いぞ」

「……シスコン?」

「世間一般から見てだぞ」


だから断じてシスコンではない。


「ふぅん。まあ、そういうことにしておいてあげる」

「そういうことって…俺は別にシスコンじゃないし」

「妹さんのスリーサイズは?」

「えっと上から…」

「知ってるってことはやっぱシスコンじゃん」

「いやいやこれはね、妹が普通に教えてくるんだよ」


風呂上がりに「兄さん私胸Aになった!」とか普通にいってくるし。ウエストはと聞くと普通に教えてくれてるしね。


「そういう妹っていないって。思春期だから兄妹にも秘密にすると思うけどなー」

「ところがどっこいうちの妹は教えてくれるんだな。運動できるくせにバカだかりゃ!」


と、後ろから野球ボールが飛んできた。

野球ボールは俺の後頭部にあたる。思いっきり投げられたのかものすごい痛みが……。


「久太くん大丈夫!?」

「いっでえ……」


誰だよ人に野球ボール投げたの!イジメか?クラスメイトがここまで追ってきてんの?


「なに瑞穂いないとこで瑞穂ディスってんのさ」


と、声がしたので振り向くとそこには妹がいた。


「瑞穂。なんで野球ボール投げたんだよ」

「兄さんが瑞穂のことバカにしたからに決まってるじゃん」

「いるとこでバカにしてもいいのか?」

「ダメに決まってるっしょ」


……こいつ。

見た目は可愛いくせに行動とか言動が少しばかりムカつく。

可愛いからってなんでも許されると思うなよ!


「で?そちらは兄さんの友人さん?」

「え?いや、彼女」

「……はい?」

「だから、彼女」


彼女というと固まった。

ギシギシと音を立てるロボットみたく首をゆっくりとぎこちなく動かして西園寺さんの方を向いた。


「はい。久太くんと交際させてもらってます西園寺 空です。よろしくお願いします。瑞穂さん」


西園寺さんは一礼。


「ええええええ!?」

「こら、瑞穂。近所迷惑」









「やー、可愛い彼女できたんだな久太。母さんは嬉しいよ」


と、目の前でご飯を山盛りにつける母さん。

今日のおかずはとんかつだった。彼女を連れて行くと昨日言ったから西園寺さんのぶんの夕食もある。


「兄さん、ソース取って」

「あいよ」


まったく。信じてくれればよかったものを。信じなかったからなこいつら。


「とんかつ…!美味しそう」

「あらあらー。ありがとう。西園寺さん。庶民のお味は合わないかもしれないけどごめんね」

「は?いや、西園寺さんも一庶民だけどなに言ってんの?」

「いやいや。あんたこそなに言ってんの?西園寺さんは株式会社民天堂の娘だよ?」

「……え?」


そ、そうなの!?

確認のために西園寺さんを見てみる。西園寺さんは苦笑いしていた。


「あはは。わかっちゃいましたか」

「一回民天堂の社長に会ったことがあるのよ。それに一回西園寺さんにも会ってるのよ?」

「え、全然覚えてないんですよ。本当ですか?」

「ものすごく小さいときだったのよね。父のズボンの影に隠れてこちらを覗いてたわ」


……昔は人見知りと。

で、なぜ母さんは民天堂の社長と会ってんの?もしかして母さんもすごい人だったり?


「だから一目見たときにわかったわ。こう見えても私記憶力はいいの」


ああ、そうですか。

俺はとんかつにかぶりつく。


「さ、冷めないうちに」

「はい。いただきます」

「あ、瑞穂辛子とって」

「うん」


とんかつに辛子を忘れてましたね。





うちの母さんは何気に料理だけは上手いんだよな。

裁縫とか俺がやったほうが上手いレベルだし、掃除は瑞穂がして、洗濯も瑞穂。母さんは機械の使い方がわからないらしく洗濯機を何回壊したかわからないほど壊してる。


「さっくさく!美味しいです!」

「そう?ありがとう」


西園寺さんも舌鼓をうっていた。


「衣サクサクでとても美味しいです。どうやってサクサクに作るんですか?私作ってもべちゃっとしてるんですよ」

「ああ、それは揚げたら立てるのよ。何かに立てかけたら油が落ちてべちゃっとならないようになるの。サクサクのままなのよね」

「そうなんですか!立てかける…と」


あ、そういう風に作ってんのね。

料理についての知識はすごくあるんだけどなぁ。なんで機械ダメなんだろう。米なんか土鍋でやってるし。


「あのー、西園寺さんだっけ?主婦目指してんの?」

「おい。瑞穂上から目線過ぎるだろ。小姑か」

「だって兄さん取られたんだもん。少しくらいはいいっしょ」


おいおい…。


「はい。目指してます。久太くんの奥さんになりたいです」

「…………」

「兄さん照れてるー!」

「う、うっせえ!」


こういうの言われたら普通照れるだろ!


「うんうん。仕方ない。認めてあげるか。私もそこまで鬼じゃないしね」

「なんでお前が偉そうなんだよ」


お前は何様のつもりですかね。









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イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
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