百瀬の脅迫
短いと思いますがすいません。
俺は一人でファミレスに来た。
コーヒーとドリアを頼み、来るまでただひたすら虚空を眺めていた。
すると、横から声をかけられる。
「相席いいか」
「俺もいい?」
竜太郎と妹尾が席に強引に座ってくる。
別に拒否するつもりもないので文句は言わない。
竜太郎はオレンジジュースを片手に席に座る。俺は、何も言わず、水を飲んでいた。
「なにか悩んでいるだろ。どうしたんだ」
「いや、なにも……」
「その割には目がうつろだよなー。あいつらと何かあったんだろ? 同じクラスだし、俺には雰囲気が伝わってきたよ」
妹尾にはばれているらしい。
だけど、人に相談することじゃないんだ。これは俺の問題で、俺らの問題で。俺らの問題に人を巻き込むのは嫌だ。
傷つくのは最小限に済ませたい。安心させたい。空も。妹尾たちも。
「相談することじゃない。大丈夫だよ」
「…………」
竜太郎は、何も言わず俺を見つめていた。
ドリアが届き、俺はスプーンですくって口に運ぶ。熱い。
「俺も力になれることあるなら手伝うぜ。だから話してくれよ」
「俺も力になれるのならなるぞ」
「おう! あたしもだ!」
と、三人が三人力になると。
……三人?
「ど、どうして百瀬さんがいるんだよ!?」
「いやー、たまたまここに入ったら見かけたから寄ったんだ! それに、お前に会えてちょうどいいしな」
「ちょうどいい?」
「ちょっとツラ貸せ」
と、いってきた。
俺は、ドリアをかっ込んで、それに応じる。
連れていかれたのは百瀬さんの家だった。妹尾と竜太郎もついてきている。
「小鳥遊。お前、なんであたしらに相談しねえんだ?」
と、着くや否やにそう質問してくる。
俺は、黙秘権を行使した。何も言わず、ただ、うつむく。答えたくないから。
「まあ、お前に答える気はないのはわかってるがよ……。ちょっと一発、歯ァくいしばれよ」
「??」
何をする気なのだろうか。
そう言おうとした矢先、俺の腹にこぶしがとんでくる。
みぞおちに見事決まったアッパーで俺は吹っ飛ばされた。俺はおなかを押え、起き上がる。おなかが超痛い。なぜ、俺は殴られたのだろうか。
「あたしらに相談しないからそうなるんだ。まだ暴力ふるわれたいなら黙っててもいいが、ふるわれたくないなら大人しく話せ」
「……脅迫のつもりか?」
「そうだ」
と、嘘は言っているように見えなかった。
この痛いパンチが続くのは嫌だ。ここは話したほうが。
いや、なぜ人に頼ろうとする。自分自身の問題を人にも強要させようとするのはどうだろうか。ダメだと思う。
共用することを強要したらもはや、それは友達とは呼べないだろう。
「俺は話さないぞ。これは俺らの問題だから、お前らに迷惑をかけるわけにはいかねえよ」
と、俺は立ち上がり、その場を去ろうとしたら。
ドアが開いた。
「あらー。騒がしいと思ったら望のお友達? 中に入りなさいよ」
と、百瀬さんの母親らしき人が玄関から出てきたのであった。




