非モテ集団の危機
ヴァレンタインは俺についてくる。
なので、まずは俺たちが住む札幌市を案内することになった。
「まず、ここが俺らがいつも行ってるゲーセン」
「ふおああ……!」
ヴァレンタインは駆け出していった。
そして行ったのはプリクラ機。その中に入っていった。
「アニメでみまシタ!カップルはこれで記念撮影をすると聞いてマス!」
ワクワクしながら言うけど金入れてない。
俺は金を入れる。撮りたいのだろうし、俺も空とはとっていなかった。
これもまあ、何かの記念だと思えばいいか。
『みんな並んで〜!』
「ウェイト!喋っタ!」
俺らは並ぶ。
新鮮さが抜けないのか辺りをキョロキョロとして興奮している。
そして、指示に従いながら何枚か写真を撮った。
そして、次は加工。
加工しているうちに違う人が入っていった。なるほど、効率がいいな。
そして、加工が終わり撮った写真がでてくる。
「ワオ!目ビッグ!」
「わ、私も初めて撮った……」
「ふーん。こういうもんなのか」
俺はその写真をカバンにしまった。
写真をしまい、今度は俺らのお気に入りゲームに案内する。
ゾンビシューティングゲームだ。
「ウェイト!ウェイト!」
「きゃっ!」
ヴァレンタインと空は二人で協力してゾンビをうっていたがどんどん二人のライフが削れていく。
俺らは一番弱い隆でさえライフを一つ減らすくらいだが、やはり初心者ということもあり、ライフがなくなりコンティニューし続けていた。
「むうう!悔しいデス!ウォーキングデッド如きに何度もやられるなんて恥辱の極み!もっかいやるデス!今度はキュータと!」
「はいはい」
俺は百円を入れた。
俺らが遊んでいると、隆たちが合流する。
「ボンジュールでござるヴァレンティーヌ氏!」
「オウ!オタク!」
隆はヴァレンタインからオタクと呼ばれていた。
ヴァレンタインも十分オタクだと思うが、ヴァレンタインにとって理想的なオタクが隆らしい。
「そんな褒め言葉はよすでござるよ」
「日本人は謙虚デスね。謙虚なのは美徳デスが謙虚すきもよくないでゴザルよ」
二人はどこか幸せそうだ。オタクとオタクは分かり合えるらしい。
と、隆は俺の方を向く。
「拙者この子と付き合うでござる!」
「ばか!早まるな!」
「いいでゴザルよ?」
「「「「「……へ??」」」」」
俺たちは素っ頓狂な声を出す。
意外だったようだ。
「つ、付き合うってあれでござるよ?カップル関係という」
「わかってマスよ?」
「ということは恋人になるってことか……?」
「ハイ!」
と、ヴァレンタインは隆にキスをした。
よかったな隆。結ばれたな。
だが、いかんせん可哀想なのは恭一郎だ。恭一郎は俺の従兄妹にモテてはいるが、それは単に一目惚れで、また会えることもないと思う。
光は宮古さんがいるし、小寄は……うん。
「…………俺、帰るわ」
「へ?ど、どうしてでござるか?今日は遊ぶ約束したでござるよ」
「遊ぶのはお前らカップルたちでやってろ。お前らはもう非モテ集団じゃねえよ」
といって、恭一郎は去っていった。
その背中は、寂しそうに感じた。そして、目を拭ったあと、走っていった。
俺は、恭一郎の心情を理解することはできたが、分かち合うことは無理だと思う。




