本宮の意地
今回は短いです。申し訳ありません
新年が明け、新学期に入った。
休み中の大きな出来事といえば本宮の事件だろう。本宮が空を攫っていった。それを俺らは探した。その時の俺は気力を失っていたと思う。
「おはよう。小鳥遊くん」
「おはよう」
クラスの女子たちは明るく挨拶をしてくる。
そして、男子は憎しみの視線をこちらに向けてくるのだ。
俺は挨拶してくる女子に挨拶をかえしつつ、教室に向かう。
俺の席に座り、イヤホンを取り出して音楽を鳴らす。いつものスタイルである。
あいつらは登校して来るのが遅いため、いつもこういうスタイルなのだが。
なんだか、今日はいちだんと遅い。何かあったのだろうか。
すると、俺の携帯に一通のメールが。隆からだった。メールを開く。すると、映像が一緒に添付されていた。
サムネから見るにどこかの古びた建物。
俺は動画を再生する。
『小鳥遊ぃ?見てるかよ』
この声。もしかして……。
『僕の邪魔ばかりしやがって…。僕はもう我慢の限界だよ』
「……!本宮!」
俺はつい叫んでしまう。
周りを見渡すとこちらを見ていた。俺は廊下にでて続きを再生する。
『僕から空たんを取りやがって……。許さない。僕は許さないから君からも何かを奪うことにしたんだ。だから、友達を奪ってあげるね』
と、映像はそこまでだった。
本宮はもはや、壊れていた。何もかも諦めたかのような声音をしていた。
俺は気がつくと、学校を飛び出していた。
靴を履き替えずに、上靴のまま。
また、攫われた。
今度は空ではなく、俺の友達が。あいつらが、攫われた。
また、俺の目の前から、大切なやつらが、消えた。
突然でていった久太を不思議そうに見つめるのは三人。
妹尾、百瀬、そして、空だ。
ただ、空はわかってしまった。
本宮と叫んだ。つまり、祥太郎と何か関係があるのだと。登校してこない隆たちに祥太郎が何かをしたのだと悟ってしまった。
空は、頭を抑える。
祥太郎の性格を知っていて、このことを予測できなかった自分に腹が立った。
「はぁ……。ダメだね、私」
徹底的にやらなかった自分が悪いと、隆たちに被害が及ぶことを想定していなかった浅はかな自分に腹が立っていた。
「……悩んでても仕方ないか。私も、探しに行かなきゃ」
空は立ち上がる。そして、すれ違いになった先生に学校を休みますと告げ、校舎からでていった。




