新年が明けたそうな
目が覚めたのは午後二時くらいのことだった。
昨日、本宮と対峙して、百瀬さんが吹っ飛ばして、空を奪還してきて。そのあと疲れ果てて眠ったんだっけ。
昨日が大晦日だから今日は正月か。
俺は起きようと目を開ける。そして、体を起こすと、俺の机に知らない女の子が座っていた。
……だれ?
「あ、起きた?」
「あ、ああ。で、だれ」
誰だこの女の子。瑞穂とも少し似ているような気もしなくはないが、俺の記憶の中には瑞穂はこういう顔じゃない。
記憶にないこの少女。小さいころ会ってるとかそういう設定は絶対ない。だって俺は小学校の時には女子と話した記憶がないもん。
「えっと、私は小鳥遊 杏美だよ」
「……俺の従兄妹?」
「正解っ」
まじか……。俺の従兄妹ということはきっと父さんの兄弟の子供か。父さんの家族構成すら知らないからわからないが。
会ったことはないのは俺がたぶん千葉の実家に行かなかったことだろう。会ったことがないのは頷ける。
「あず~。ここにいたんだ。下で叔父さん呼んでるよ」
瑞穂が俺の部屋のドアを開ける。
そして、俺を見ると、こっちにこいとの合図をうける。多分俺も呼んでるのか。
……初詣行こうと思ったんだけど。時間が刻々と過ぎていく……。
「おお。あんにゃろう、こんなかっこいい孫を連れてこなかったのか」
俺の目の前に走らないおじいさん。たぶん俺の祖父さんだと思うが。
そして、知らないおじさんに知らない従兄妹。知らない人が三人いた。しかも祖母さんも来てるらしく、知らない人は四人ほど。
うう、なんとなく気まずい。いまさら何を話せばいいんだろう。
「えっと、初めまして」
初めましてだからこの挨拶は間違いじゃないよな? い、いいんだよな?
「初めまして。ほい、お年玉」
「あ、ありがとうございます」
お年玉を手渡された。分厚いというか、封筒。
えっと、中身はおいくら円でしょうか。って、ひーふーみーよー……。三十四万!? なんでこんな大金なの? こんなに太っ腹なの?
「えっと、こんなにもらってもいいんですか?」
「毎年我が孫に二万ずつあげているのだ。十七年間もらわなかったから、十七かける二で三十四万ということになった」
まじすか。これって全部渡せなかったお年玉ってことでしょ? 別にこんなに入らないんだけどな……。よく学校である話に「お前お年玉何円もらった」という話に「三十四万」って答えたくないよ? というか、お年玉の域超えてるよねこれ。もはや給料だよね。
「まあ、もらっておくがよい」
「あ、ありがとうございます」
こ、こんな大金さらりと渡せてしまう祖父さん怖え。
俺は、小さく礼をしてその場を去った。というか、この大金を貯金すべく俺は郵便局に向かう。
郵便局に行って、そのあと俺は神社に向かった。
自分ちからそう遠くない場所にある神社に行くと、見知った集団がいた。
そして、その集団に生徒会長も混じっている。
「ねえねえ、久太兄さん。おみくじひいていい?」
「お前いつからいたんだよ」
「最初からついてきてたんだ」
俺の隣にはなぜか杏美がいた。
杏美はおみくじをひくためにいくらしい。俺はちょっとあいつらと話して……。って、おいおい。
俺は杏美に腕を引っ張られ、列に並ばされたのだった。佳と似たような性格なのだろうか。
「なんで俺まで。俺はおみくじなんて興味ないんだが」
「一年の計は元旦にありだよ久太兄さん。今日の運勢で今年の運勢が決まるといっても過言じゃない」
過言だからね?
「とにかく並ぼう。ね? そしておみくじひこうよ」
「わかったよ……」
俺にはおみくじでいいの引いた覚えがない。
小六まで引いていたがでたのは末吉だらけ。中吉より上が出たことがないほどだ。俺の運は微妙過ぎて俺は二度とおみくじを買わなくなった思い出がある。
今日は引くつもりなく願うだけだったが……。
ちょっと結果怖いなあ。
おみくじの結果は末吉でした。




