クリスマスには災難がやってくる?①
目の前には空と空の父親と会長と会長の父親らしい人と、スーツを着込んだたくさんの人がいる。
クリスマスとなった。本日はキリストの生誕祭である。あれ?クリスマスにキリスト生まれたんだっけ?
というか、一つ言おう。
今日は空とのデートの予定だったはずだ。なのに、なんで知らない人がいる!?
というか、なんでパーティ開いてんの?クリスマスパーティ開かれるなんて聞いてないけど!
「此度は私が開くクリスマスパーティに来ていただいて申し訳ない。佳子と空の頼みでクリスマスパーティを開くことになった」
とのことだった。
俺は空をじっと見つめると、空は目をそらした。確信犯か……。
デートの気持ちで来たんだけどな。それはちょっとひどいですよ。
「こほん。もとい、うちの娘と久太くんのお付き合い記念パーティでもある。主賓は久太くんに空だ。是非とも楽しんでくれたまえ。では、かんぱーい!」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
ということで、説明をすると民天堂のクリスマスパーティに招待されたのである。
場所は俺らのことも考えて北海道で行われた。
というか、俺、場違いすぎるだろ。
「副委員長。今は小鳥遊か。小鳥遊。せっかくのパーティだ。楽しむのだぞ」
「あ、はい」
「それに私に堅苦しくなくてもいい。空の親しい人は私とも親しい人と同じだからな。佳子と呼び捨てで構わない」
「え?いや、それは」
「なんだ?私を呼び捨てしたくないのか?」
いやいや。あなたは先輩ですし。
先輩には敬語は当たり前です。あと、なんとなく俺は呼びたくない。空だけ名前を呼び捨てにしたいという自分勝手な理由もある。
だからこそ、名字を呼び捨てにはしても名前は呼び捨てにはできるだけしない。
まあ、佳は呼び捨てで呼んでるが……。今更な話でもあるけど。
「はい。まあ、自分勝手な理由なんですけど」
「ふむ。やはり空への愛は本物のようだな。悪かった」
「あ、はい」
やっぱり試してたんですね。
「で、空。この話聞いてないんだけど……」
「ご、ごめん。話したら来てくれないかと思って」
「……まあ、たしかに拒否するかも」
こういったパーティには出たくないからな。多分知ってたら拒否していたと思う。
……俺を参加させるために黙ってたのか。俺のことわかった上で……。うーん。嬉しいけど嬉しくないこの複雑な気持ち。
「だから……。ごめん。本当に嫌ならごめんね。な、なんでもするから許してくれない、かな?」
な、なんでも?
おっと。揺らぎかけた。
「い、いや。別に怒ってないし空となら嫌じゃない。だからそんな悲しい顔すんな」
嫌じゃないと言うと顔を明るくした。
「そ、そう。なら、よかった」
「ごめんな。まあ、俺も楽しむから」
俺は会場の料理を手に取り、口に運んでいく。
あ、この料理うまっ。
クリスマスパーティも過ぎていく。
会場は酒で酔った大人たちで溢れかえっていた。絡み酒の人もいて、俺らに付き合い始めとかたくさん聞いてくる。
「北海道は食べ物美味しくていいところだねえ。日本のまほろばといっても…ひっく」
北海道の素晴らしさを語る人や。
「今の政治はダメだね。まだ女性に格差があるのよ。ダメダメ。これじゃあたしが首相やったほうがいい」
政治について語る人もいる。
会場にいる大人は全員ベロベロに酔っている。いや、会場全体とはいわないが大体酔っている。
相当飲んでる酒アルコールきついのか?
「あの、そういうのはごめんなさい」
空も応対で大変らしい。
空は笑顔で接し、みんなに笑顔を振りまいていた。
その空の笑顔が、少し緩む。ふぅ、とため息をついてまた、接しはじめた。
こういう酔っ払いの対応をしなきゃならないのは辛い。パーティを楽しむどころではない。
「空。お疲れ」
「久太くんもお疲れ様。疲れるね……」
「酔っ払いだからな」
「お酒くさいしなんか気持ち悪くなって来た」
「……じゃ、一回外出ようか」
俺は席から立ち上がり、空を連れて出て行こうとした。
すると、そのときどこかから声が聞こえる。
「おーい!空た〜ん!」
と、どこかから男の子の声が聞こえる。
その声を聞いた瞬間空の顔が驚くほど色を失った。
というか、空たん?
「あ、やっぱ空たんだ!お久しぶり!5年ぶりかな?」
と、イケメンがやってきた。
誰だこいつ。




