久太の傲慢な思い
修学旅行が終わり、だんだんクラスの熱も日にちが経つごとに落ち着いていく。最初は思い出を楽しく語っていたものの、今では何気ない会話しかしていない。
そして、雪が降る日となる。
父さんがまた単身赴任に向かい、瑞穂も家に帰ってきた。
まあ、修学旅行が明けてからなにもないということである。
「ふうう。さみいー」
息が白くなる。
雪が積もった歩道の上を歩く。今日は土曜日。空とデートする約束を取り付けていた。
しんしんと降りつづける雪。
北海道ではよくあることだ。今日の朝も雪かきを瑞穂と一緒にしたくらい。
待ち合わせ場所に着き、時間を確認する。
十分前に来たから、まあ、大丈夫だろう。
「雪っていうのも考えものだよな」
聞いた話によると本州では雪が三センチ積もっただけで学校が休校になるとか聞いた。
北海道ではまずありえない話である。吹雪やよっぽどの大雪。どのくらいかというと腰ぐらいまで積もらないと休校にはならないだろう。
そして、数分待っていると待っていた人が来た。
「寒いね」
「ああ」
俺は立ち上がる。
モフモフした耳当てをあて、マフラーを巻き、手袋をしてきて防寒対策はバッチリの様子。俺はダウンジャケットを羽織っているだけだが。
「それじゃ、行こうか」
「う、うん」
俺は手を差し出す。
その手を不思議なように見つめる。
「手、手を繋ごうか」
「あ、う、うん」
手をぎゅっと握りしめてきた。
暖かい。素手に空の暖かさが伝わってくる。
「寒くないの?」
「寒い…」
「マフラーとかしてくればよかったのに」
「マフラーないんだよ。それに、冬とかポッケに手を突っ込んだら少しは温まるからしてないんだわ」
現に俺の左手はダウンジャケットのポッケの中である。
「うーん。じゃあちょっと待ってね」
手を離し、空は耳当てを外す。そして、手袋も外し、ポケットにいれていた。
「はい。耳当て。これでどっちも寒いのは同じ」
耳当てを俺に被せ、素手で手を繋ぐ。
……かわいらしい。
俺は手を強く握った。
ああ、幸せです。神様。ありがとうございます。
雪の上を進む。
ボフッボフッと心地よい音がなる。
「そういえば、もうそろそろクリスマスだね」
「そうだな」
そして、もうそろそろ冬休みも近い。
「その、クリスマスもデートしない?」
「おう。いいぜ」
去年まではクリぼっちでしたし。
今年は彼女と過ごせる!
「ふぅ。よかった」
と、笑顔を向けてくる。
そっか。誘うの緊張したのか……。ま、まあたしかにわからなくもない。俺だって誘うのには緊張する。
修学旅行以来、本当の意味で恋仲となった。
相思相愛と言うのだろうか。
俺は気がつけば惹かれていた。外見で選んでないとは言い切れないが、おおよそは中身だ。
だから、俺は、俺らは仲がいいのだと思う。これは単なる自分の思い込みかもしれないし、自惚れだと思うが、少なくとも俺はそう思っていたい。
こういうの、傲慢だろうか。
「クリスマス。楽しみになるな」
「う、うんっ!」
俺らのデートは続く。
冬真っ盛りというのに、なんだか暖かかった。
冬とか今の季節とミスマッチですね。
あと、吹雪は本当にきついです。顔が痛くなるんですよ。風と雪のせいで。そして、体の芯まで冷える。息もしづらいんです。
ああ、スプラトゥーンやりたいお……




