エンジョイ!修学旅行!②
俺が目覚めると縄に縛られていた。
なぜ、こうなったのだろう。
目の前にはナイフを持っている男の姿。フードを被り顔を隠している。
ここはありきたりの廃工場とかではなく、どこか綺麗な部屋。京都市のどこかだろうか。
まあ、とりあえず、なぜこうなったか。順々に思い出していこう……。
京都に着いた。
京都駅に到着し、俺らはホテルに荷物を置く。そして、次は金閣寺にみんなで見学に行くことになっている。
金閣といえば足利義満が建てた寺だ。
鹿苑寺が正式名称であり、一度火事で燃えている寺。
もちろん、歴史をかじり始めている俺はテンション上がっていた。
「鹿苑寺!楽しみだ!」
本当に金色なのだろうか。
以前京都来た時行けばよかった!ちくしょう!
「鹿苑寺ってどこだ?」
「金閣寺だよ。ちなみに銀閣は慈照寺って言うんだ」
「そうなんだ〜……。よく知ってるなぁ」
「さすが西園寺だな!学年一位だけある!」
「や、やめてよ!そんなに上げるの!は、恥ずかしいじゃん……」
照れている空。かあいいなあ。
その時だった。
俺は口に何かを当てられ、気を失ったのだった。
気がつくとここにいたというわけか……。
なんなんだ?俺を狙うやついるのかよ…。なに?身代金?
バカかよ……。
「目が覚めたか?」
といってくるのは聞き覚えがある声だった。
この声。もしかしてだが。
変声期とかなにも使っていないからよくわかる。もう、犯人が誰かわかってしまった。
「浜田……か」
「ふん」
やはり浜田らしい。
フードを外しこちらをみる。縛られている俺の腹部を力一杯蹴ってきていた。
痛い。
「くぅ……」
「お前が、お前が憎い!なぜお前が西園寺さんと付き合ってんだ!」
憎しみを込めた目で俺を見てくる。伝わってくるのは憎悪の念。憎しみの気持ちが大きい。力も強かった。同じとこを蹴られ続け、痛みを感じなくなってきていたのだった。
「僕も西園寺さんが好きだったのに!なぜモテなかったお前が、僕たちから西園寺さんを掻っ攫っていくんだ!お前が憎い憎い憎い!」
狂ったように何度も何度も蹴られ続ける。
意識が朦朧としてきた。目の前がだんだんボヤけていく。
たんなる逆恨みじゃないか。なぜ俺が空と付き合っただけでこうなるんだ。
俺だって最初は好きじゃなかったさ。でも、日々会話していったら好きになったんだ。惹かれたんだよ。俺も好きだし空だって俺のことが好きなのに。なぜそれを邪魔されなければならない!
憎いのはこっちのほうだ!
お前はモテないやつの苦労を知らない!
そして、空の苦労も知らないくせに、そんなこと抜かしてんじゃねえ!
「……ふざけんな」
「なにがふざけてるっていうんだ!僕はふざけてなんかない!僕は本気で好きだったんだ!なのにお前が!」
愛は人を変える。狂気的な風に変える。
俺は、怒った。もう、我慢できない。
俺は縛られてない足で、浜田の足を払う。
「おわっ!」
倒れこむ浜田。
倒れた浜田の顔にかかと落としを一発決めた。
「……っ!」
浜田は鼻を抑える。
鼻から血を出していた。俺も、けられた腹部が痛む。まだ、俺の気は収まらない。
俺はもう、容赦はしない。キレた。
「痛いか?なら、もっとやってやる」
立ち上がる。
そして、思い切り顔を踏みつけた。
「いでえ!!」
「痛いか?俺も同じ痛みを味わったんだ。お前も味わないのは不公平だろ」
何度も何度も何度も何度も踏み続けてやる。
そして、浜田は気を失っていたのだった。
俺は気を失った浜田を力一杯蹴りつけ、俺はその場を離れる。
……やりすぎたか。
過剰防衛……だよな。
はあ。それにしても、ここどこだよ。手足縛られてるから携帯も取り出せないしなあ。
ああ、お腹痛い。
声にならないほどの叫びをあげたい。
骨は折れてないと思う。けど、ものすんごい痛い。立っているのがやっとなくらいだ。
ああ、やばい。倒れそう……。
タイトル詐欺ですね。はい。全然エンジョイできてませんね。
あと、最近話が短くてすいません。キリのいいところできったらこうなったのです。




