エンジョイ!修学旅行!①
「おーい、起きろー」
修学旅行二日目。
俺はゆっくりと上体を起こす。
眠たい目を擦りながら、時計を見ると起床時間を五分程度過ぎている。
「おはよーさん」
「……はよ」
「……怒ってんのか?」
「朝に弱いだけ」
朝は頭が働かないんです。
「ほら、朝食の時間だから。行くぞ」
「先行ってて……」
色々と準備があるため、先行くよう促しておく。
妹尾は頷くと先行ったのだった。
俺は洗面所で髪を直す。顔を洗う。そして、またベットに横になった。
「おい!起きろ!」
強い声が聞こえる。
……あっ、しまった!?
「やべ!二度寝してた!?」
「なにしてんだよ……。飯の時間終わったぞ」
時計を見ると8時半を指していた。
もうそろそろ集合の時間じゃないですか!?まって、寝過ごすとか俺何してんの!?
「急いで準備しないと……」
布団をたたみ、片付ける。
とりあえずカバンに出した荷物を詰め込んで行き、部屋になにも残さない。
おっと、携帯の充電器置いてくとこだった。
「忘れ物ないか?」
「多分」
「不確定なのかよ……」
「大丈夫。ないと思う。それより時間だから早く行かないと!」
カバンを背負い、キャリーバッグを引きずって妹尾とエレベーターに乗る。
下がって行くエレベーター。
二人きりとなるとちょっとだけまだ気まずい。
「…………」
「…………」
お互いがお互い無言だった。
「……ったく、気をつけろよ。寝過ごすの」
「お、おう。気をつける……」
「……まぁ、小鳥遊にも弱点があるってことわかってよかった」
「俺のことなんだと思ってるの?」
「なんでも出来るやつ」
「あのなあ。なんでもできるわけないだろ……」
「だよな」
といって妹尾は笑う。
案外いいやつなんだよな。こう話してみると。
「逆に俺はなにもできないよ。出来るようにみえてんのは周りのやつが優秀だからだ」
俺は実際になにもできない。
隆たちがやるのをただ傍観しているだけ。周りのやつが優秀だから俺もその錯覚で出来ているように見えているのだろう。
「神は人に二つ上げないんだよ。俺は見た目こそいいがなにもできん。神に愛されないかぎり二つはくんないわ」
「……神がいるとは限らないだろ」
「とりあえず信じとけよ。都合のいい時だけ神頼みは俺嫌いだから俺は神様を信じてる」
神はいる。というか、信じたい。
信じるものは救われるともいう。信じなければ救われない。なら、俺は信じるにきまってる。
「……そっか。わかった。信じとくよ」
「そうか」
ピンポーンと、目的の階に到着した音がなった。




