表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/291

ゴー!修学旅行!④

ホテルの部屋に戻る。

俺は妹尾たちと同じ部屋ということでまあ、気まずい。浜田からは特に敵意を感じている。


感じつつも無視を決め込んでいるのだが。


「さてと。浜田。トランプやろうぜ」

「あ、うん。わかった!」


と、妹尾たちはトランプを始める。

俺はベッドに横になり、持ってきた漫画をただ読んでいた。俺らとこいつは相性悪いし、そもそも相手側が嫌ってきてるから俺は参加しない。というか、誘われてないだろう。


別にいい。敵意むき出しのやつとわざわざ関わろうとは思わねえしな。


「な、なあ、小鳥遊も誘わないか?」

「は?なんで?僕たちだけでやろうよ」

「えーと、仲間はずれはダメだろ」

「えー、でもあいつは西園寺さんを盗ってった男だよ?仲良くする必要ないじゃん」


俺にも聞こえるような声で言ってくる。多分聞かせているのだろうが、それくらいでダメージは負わない。日々の罵詈雑言程度で俺は屈しないわ。言われるのは日常茶飯事だよこの野郎。


「……俺もいいや。なんか、気分じゃなくなった」

「え?やらないの?」

「ああ。俺はやらない。ごめんな」


といって、俺の隣のベッドに寝転がる。

その姿は何かに悩んでいるように見えた。まあ、俺にはかんけいないが。

いや、全然気になんないから。……ごめん。気になるわ。


「何悩んでんだよ。きになるじゃねえか」

「……なんでもない」

「まあ、俺に相談したくないことならいいけど。俺の隣でうじうじ悩まないでくんないか?」


俺の周りには悩む人は少ない。

隆たちは悩まないのだ。みんな自分に素直。だからこそたまに諍いが起きるが、基本的にウマが合う。だからこそ、悩まれるのはなんかじれったい。


「……ごめん」

「いや、いいけどよ」


といって、また無言となる。

居づらいな。この空間。なんだか、ギスギスというのかなんというか。






夕食の時間。

ビュッフェ形式のご飯のようで、好きな料理を皿に取り、席に座る。

俺は空の隣に座り、箸を持った。


「百瀬ちゃん肉ばっかだね……」

「肉美味えだろ?それに今しか食えねえんならたくさん食うまでだ!」


と言ってがっつき始める。

ローストビーフたくさんとってるなあ。まあ、自由だからいいと思うが……。

だが野菜も食えよ……。


「寿司があったにゃ!」

「こっちにはステーキもありましたよ!」

「まじか!取って来ねえと!」


食べ物を口に入れながら行くなよ……。


「……小鳥遊。隣いいか?」

「ん?別にいいけど」


妹尾が俺の隣に座る。


「わっ、このサラダのドレッシング美味しい。青じその感じがする」

「俺ゴマだれにしたんだけど青じそドレッシングも美味いの?」

「うん。爽やかだよ」

「一口いいか?」

「うん」


じゃ、遠慮なく……。ってなんでガードするの?


「きゅ、久太くん!」

「な、なんだ?」


空は箸でサラダを掴む。

そして、手を下に添え、俺に差し出す。


「は、はい。あーん……」

「……あーん」


かぶりつく。

なにこれ、恥ずかしい。超恥ずかしい。


「……!」


妹尾はこちらを見ていた。

またなんかやるのか?


「……小鳥遊。これ、やる」


と差し出したのはステーキ。

え?どういう風の吹き回し?なにが目的ですか?


「あ、ありがとさん」

「今までごめんな。俺が悪かった」


と、妹尾は頭を下げる。

んん?どういうことですかね。なにがあったし。妹尾になにがあった?

何か企んでるのか?


「そんなに睨まないでくれ。俺はなにも企んでねえよ……」

「俺睨んでたつもりないんだけど…」

「に、睨んでたよな西園寺さん?」

「う、うん。睨んでた」

「……すまん」


睨んでたつもりないんですけどね。


「俺はお前らを応援する。まだクラスに敵は多いかもしれないが、頑張ってくれ」

「あ、お、おう」

「ほんと、すまなかった」


改めて深々と頭を下げる。

もしかしてこいついい奴なの?行く前はあんなムカつくことしてきたくせにいい奴なの?

いまいち信じられないが……。まあ、とりあえず、ね。信じることにしよう。


「わかったよ。許すからとりあえず飯を食おう。食事は大事だぞ」

「お、おう」


前を向き食べ始める。

そこからは妹尾は元気よく話し始めた。


「小鳥遊は西園寺さんとどこまでいってるんだ?キスしたのか?」

「なんでそれ必ず聞かれるんだ?」

「いいから答えろよー」

「まだキスもしてない」

「まじか!?」

「マジだよ」


キス……したことないんですわ。

だってあれじゃん。キスしたら入れ替わるかもしれないしもしかしたらテレパシー能力得るかもしれないし!

……魔女はいないか。


ごめんなさい。言い訳です。単純にする勇気がないだけです。


「カップルってキスするもんなんじゃねえの?」

「なにその偏った偏見。俺らは純情だから、な?」

「う、うん」

「そこで自信なくするのやめてくれない?俺まだなにもしてないからね!」

「そ、それも彼氏としてどうかと思うが……」


うるさいです。俺は手を出しません!

たしかに胸もデカイし、顔も可愛いし、あんなことしたら気持ちいいかと思うけど……。

ダメだ!これ以上はダメだ!


「小鳥遊、鼻血でてんぞ?」

「えっ」

「なにかやらしいこと考えてたろ」

「い、いや?」

「……久太くん。目が泳いでるよ?」

「そ、そんなこと!ない……です。嘘です。考えてました……」


だってだってえ!

これでも童貞なんですから!妄想くらい許してくださいよ!思想の自由とかあるじゃないですかあ!!








「許さない。どうやって妹尾を引き込んだ……」


側からみていた男は爪を噛む。

妹尾が、敵に寝返った。それは彼にとって予想していない。

これじゃ、計画は上手くいかないじゃないかと。


憎らしそうな顔で、久太を睨む。


「殺してやる……!小鳥遊 久太……!」








なにか動き出してしまいましたね。


タイトルを修正いたしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ