ゴー!修学旅行!②
広島に到着。
そして、まずは俺らが泊まるホテルに行くことになった。
駅から数分のホテルに泊まる。そこまで歩きでいくのだ。
「俺初めて本州に来たかも!」
「私もだよ」
クラスメイトたちは雑談をかわしながら向かっていく。
みんな楽しそうだなあ。そう思いながら俺も歩いていた。
「広島といえばなんだ?」
「広島風お好み焼だね」
「それ美味しいのにゃ?」
「わからね。ただ、広島風だからな。お好み焼のまがい物なんじゃねえの」
「まがい物じゃなくて、広島なりのお好み焼だと思うよ……。まがい物っていうのは広島の人に失礼だって」
まあ、世間では広島風って言ってるだけで広島の人からしたらそっちのほうが一般的なのかもしれないしな。
「広島風お好み焼ってたしか麺が入ってるよな」
「そうそう!あれ美味しいんだよ!僕、食べたことあるからわかるけど、美味しいよ!」
「どんな味なんだ?」
「え?えっと……」
食べたことあるんじゃないのかよ。
「久太くんは食べたことある?」
「俺はない。普通のお好み焼きなら食べたことあるんだけどな」
あいにく食べたことはない。
ちなみに俺は豚玉が好きです。
「私もそれくらいはあるよ。なんの具が好きなの?私は海鮮かな」
「俺は豚玉」
「あたしと同じじゃねえか!」
「タマはミックスかにゃ〜」
「俺は…まあ、お好み焼よりもんじゃの方が好きだ」
「もんじゃ?」
ああ、あのやつか。
「もんじゃは食べたことないなあ…」
「あたしもねえな」
「タマも」
「ごめん、僕もないよ」
え?みんなないの?食べないの?
ええ、じゃあ食べてるのって俺と妹尾だけ?なんか少数派だなあ。
「お前らもんじゃ食べたことないのかよ。美味いぞ、もんじゃ」
「お、おう。小鳥遊の言う通りだ。西園寺さん。是非食べてみませんか」
「う、うーん。久太くんが美味いっていうならちょっと気になるな……」
考え込む空。
「もんじゃってあれだろ?ゲロみたいな…」
「食べたくなくなるからやめるにゃ!」
「おこげが美味いんだぞ、あれ。見た目こそあれに近いかもしれないが味は保証する」
土手を作ってその中にもんじゃの生地を流し込む。
鉄板の上で焼かれるもんじゃ焼。はがしと呼ばれるヘラでこそぎ取りながら食べる。
元々は駄菓子屋でやっていたのだ。
子供に文字を教えるために小麦粉を溶いた水を鉄板で文字を焼きつつ教えた文字焼きがいつのまにかもんじゃになった。
お好み焼きの祖先とも呼ばれていたはず。たしかだが。にわかですまんな。
「うーん、じゃあ昼食べにいこっか。も、もんじゃ食べてみたいし」
「わかりました!じゃあ食べに行きましょう」
妹尾が計画を立てた。
まあ、どうせ俺は空と隔離されるだろうけどな。あいつらの作戦で。
各班の研修が始まる。
もちろん行き先は自分らで決めるのだ。
俺らはまず、平和祈念公園に来ていた。
広島空港からバスで50分。そしてついた駅から徒歩5分の場所にある広島平和祈念公園。
原爆ドームが近くにあり、ここには戦没者が眠る。
石碑には『安らかに眠って下さい。過ちは繰返しませぬから』と書かれていた。
戦争。俺らにとってはまだ無縁のことだ。
「ここに原爆が落ちたんだな」
「いろんなとこに残ってるね」
「戦争…か。あたしらにはもう関係ないが、こういうのってなんか重苦しくなって嫌いだ」
「争いっていけないよな……」
まあ、いけないと思いつつも争うけどな。
過ちは繰返しませぬ。
過ちというのは戦争のことだろう。第二次世界大戦で広島はアメリカの核爆弾を落とされた。
戦争を起こした過ちを繰り返さない、アメリカに核爆弾を落とさせない気持ちがひしひしと感じられる。
まあ、レポートはこうまとめておけばいいだろう。
「というか、他の学校も見学にきてんな。あたしら邪魔か?」
「うーん。そうだね。じゃあ写真だけ撮って退けようか」
と、空が写真を撮る。
そのときだった。
「お姉さんどこの高校の人ですか?」
と、違う学校のやつに声をかけられていた。
かく言う俺も。
「あ、あのお兄さん!ど、どこの学校の……。よ、よければ連絡先を……」
女子に声をかけられていた。
これって逆ナンってやつ?うーん。俺かっこいいのかな?惚れた?
「こらーー!なにをしとるか二人!!」
「あ、やべ!」
「うっ」
先生に怒られていた。
って、あれ?あの顔どこかでみたことあるような。あのギャルっぽい子。
あれ?あれれ?
「なあ、空」
「ん?なにかな」
「あれ、佳じゃね?」
「……たしかにそうかも。でも他人の空似かもしれないよ」
「いや、でもなんかニヤついて先生の指示聞いてなさそうだし、先生困ってるけど」
「……あれ佳だ。注意しなきゃ」
「あ、今行くなって!」
空が駆けだしていった。
俺も止めるためについて行くが止められず佳の後ろにいってしまう。佳は気づいてないようだが、先生はこちらをみて来た。
「ちょっと、空。今はダメだろ」
「大丈夫大丈夫。小声で注意するから」
「そういう問題じゃなくてだな。あ、おい」
空は佳の後ろに立つ。
ボソボソとなにか呟いていた。そして、佳の背筋が伸びる。
「ちょ、ちょっと空姉ちゃん!わかったから!ごめんなさい!」
「「「「「「空姉ちゃん??」」」」」」
ほらー、注目されたじゃないか。
「あ、あのー、どこの人かわかりませんが、話の邪魔をしないでいただけると……」
「すいません!ほんとすいません!空連れていますぐいきますので」
俺は空の手を引っ張る。
この子たまにとんでもないことするから怖い!!




