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不安の班決め

 学校祭が明け、学校中はまた普段の日常へと戻る。

 だが、二年生だけはまだお祭りの気分が抜けていなかった。


 「おっしゃああああ! 楽しみな修学旅行だぜええええ!」


 一人の男子が机の上に立ち、ライオンキングみたく叫んだ。

 そう、二年生には学校生活最大のメインイベントがある。修学旅行というものが。行先は広島とか京都だったかな。京都は一回いったんだけど。しかも今年。


 「静かにしろ! 班決めをしなきゃいけないんだから」


 京屋先生の眼光が騒いでいた男子に向かう。鋭い眼光を向けられた男子は委縮してしまい、静かに降り、静かに座った。

 それを見計らい、京屋先生が口を開く。


 「今回の行き先は広島、京都だ。各地で班行動をとらねばならない。その班決めを今のロングホームルームでしようと思っていたのだが、まずお前らには説法のほうがいいらしいな。特に田中。机の上に載るとは何事だ。普段の行動も目に余るぞ」

 「すいません……」


 京屋先生にびびったのか震えていた。

 うん。俺でも怖えよ。京屋先生の睨みは。ひるんでしまう。


 「まあ、テンションはあがるのは私もわかっているがな。さて、さっそく班決めだ。男子三人、女子三人の六人で一班作ってくれ」


 と先生が指示を出すと、俺らはクラスで固まる。

 誰が誰と組むかが重要となる。もちろんこういう班決めは友達となるのだろう。


 「えーと、じゃあまず誰と組みたいかだけ」


 委員長が取り仕切ると、男子は目を合わせた。


 「「「「「「西園寺さん!!」」」」」」


 男子が声を合わせてそういう。

 だが残念だったな。


 「私久太くんと組むから。あ、小波くんたちはどうするの?」

 「拙者らは一人あぶれるでござるから、悪いのでござるが久太氏と組むのはパスするでござる」

 「そっか。えっと、ほかに私たちと組む人……」

 「あたし小鳥遊と約束してるぞ。一緒に組むことになってんだ」


 空がこちらを見てくる。

 い、いいじゃないか。俺ってもともと断らないほうだし。


 「まあ、いっか。女子も入れなくちゃいけなかったからね。じゃ、あと私たちの班は男子二人と女子一人か」

 「はーい! タマ組む!」

 「……組みたい」


 猫又さんと小寄が手を挙げた。


 「うーん。猫又さんと長瀬さんはじゃんけんかな」

 「了解ですにゃ!」

 「……」


 ガッツポーズでやる気を見せてる。喋れよ。


 「じゃ、あと男子だね」


 西園寺さんがそういうと男子は一斉に手を挙げた。

 女子はそれをジト目で見つめている。どうやら男子の諸君の好感度は下がっていっているらしい。どんどん距離を置かれている。


 「そ、そんな多くはいらないよ。あと二人だから」

 「……じゃ、じゃんけんだな」

 

 男子の一人が提案すると、それにみんながのっかった。

 恨みっこなしとか言ってるが絶対恨むだろお前ら。






 「じゃ、西園寺の班は小鳥遊、妹尾せの浜田はまだ、西園寺、百瀬、猫又か」


 じゃんけんの結果。猫又さんが勝ち、妹尾と浜田が勝った。

 なのでこのメンバーになる。

 で、隆、恭一郎、光はというと、女子を求めていたっけすんなりと決まったらしい。というか、西園寺さんをめぐるじゃんけん戦争に参加していなかったから最初に声をかけられてた。

 ちょっとばかりご満悦なようである。


 「うっしゃ、よろしくな! 西園寺さん!」

 「よろしくね。西園寺さん!」


 妹尾と浜田が図々しく声をかけた。

 空は苦笑を浮かべ、よろしくと伝えている。


 「猫又さんも百瀬さんもよろしく」

 「おう。よろしくな」

 「よろしくにゃん」


 猫又さんと百瀬さんにも挨拶はしたが、俺にはないようだった。

 ああ、俺と仲良くしたくないのね。わかってる。俺もする気ないから。でも泊まるときこいつらと相部屋だからな。ちょっと怖えよ。


 「空。ちょっと俺この班員に不安しか覚えないんだが」

 「うーん。男の子のほうが困り者だね。ちょっと厄介っていうか」


 そうだよ。ほんと厄介だよ。身の危険しか感じてないからね、今。






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イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
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