文化祭が始まりました!⑦
俺らの番が来た。
俺らはステージに上がると観客の視線は自然と竜太郎に向く。イケメンはやはりバンドでも輝くらしい。
というか、俺も見られてない?
「こんにちは。WANPです」
俺はマイクを通して会場のやつらに声をかける。
黄色い歓声が湧いた。
そして、少しの間冗談を話しつつ、俺らのメンバー紹介をする。そして、終わり、とうとう演奏に入ることになった。
「今から演奏するのは、モテない俺らが必死に歌うアニメソング。アニメと聞いて軽蔑する人もいるかもしれないけどいいアニメだから是非、見てくれ!じゃ、聞いてくれ。アニメ『愛と罰』の『No Lovers』です」
俺の掛け声とともにドラムのリズムが刻まれる。
ベースとギター、エレキが演奏を始め、俺はマイクを手にした。
息を吸い、そして、歌い始める。
「ありがとうございましたあ!」
演奏が全部終わり、裏方に戻る。
「はふぅ。緊張したっすねえ」
光と隆が深い息を吐いた。
疲れたのかめっきり喋らなくなった小寄。まだまだ元気そうな百瀬さんになんともなさそうな竜太郎。やっぱイケメンってなんでもできるのか?
「もうやりたくないでござる」
「俺もっす……」
ぐったりと座り込む光。
と、その時携帯がまた鳴り響いた。
「もしもし」
『四之宮だ。副委員長』
電話の相手は会長だった。
こんな時間に何の用なのだろう。忙しくなることは特になかったはずだけど。
閉会式のことか?
「なんですか?会長」
『うむ。少し打ち合わせをしたい。会議室まで来れるか?』
「まあ、行けますけど」
ここから会議室は離れているが行けなくはない。
『それじゃ、来てくれ』
「わかりました」
電話を切る。
「ちょっと用事できた。行ってくる」
そう断っておき俺は会議室へ向かう。
会議室ではパイプ椅子に座った会長がなにやら箱を手にしていた。
これってなんだろう。
「よく来たな」
「えっと、打ち合わせですよね?」
「ああ。閉会式のな」
閉会式。
何も今やらなくともいいと思うが……。、明日なのだし、今日じゃなくてもいいような気もするが。
「まあその前にこれをやろう」
「なんですか?これ」
「山吹色のお菓子だ」
「それ賄賂の隠語じゃないですか。まあ、賄賂じゃないことを……」
蓋を開けてみる。
中には札束が入っていた。俺はすぐに閉めた。
「これって本当に賄賂じゃないですか!?」
「ざっと二百万だ。やろう」
「そんな簡単にあげてもいいんですかね!?」
「冗談だ。これはチョコだ」
「ちょ、チョコ?」
開けて札を見てみる。
百万円と書かれていた。ああ、確かにチョコだけどリアルすぎないか?
「札束チョコ。、うちのやつが暇つぶしに作ってな。やろうかと思ったのだ」
「そ、そうですか」
でも会長。こんなに食べられませんよ?
そして、学校祭一日目は終わり、二日目も難なく終わった。
文化祭編はあと一話くらいで終わります。




