猫と体育
どうも。非モテ集団から脱却を成功し見事イケメンに成し得た成功者の久太です。
イケメンになったから敵なしと思いきや早速窮地に陥りました。
と、友だちってどつやってつくんだよおおお!
友だちの作り方を俺は知らない。
小中学校はぼっち。高校であいつらと知り合ったきっかけはアニメとかゲームから。
あいつらがオタクだからこそ俺は友だちになれたのだ。
でも、オタクじゃないやつと友だちになるのってきつくね?話題についていけないと思うよ。僕。
「友だち作り方…」
わからねえ。わかんねえよ……。
「なになにー?疎外されてんのー?あんた」
「あ?」
頭を抱えて唸っていると隣から元気な声をかけられる。
振り向くとほっぺに何か当たった。
「にゃはっ。ひっかかったー」
「なんとも古典的な…」
俺は呆れた目でみる。目が合うとにぱっと笑う。
「名前…なんだっけ」
「にゃにゃ!?」
というか、猫みたいなやつだな。
「クラスメイトの名前覚えてないの!?私猫又 タマだよ!?」
「猫又さんね。覚えた」
「むぅー。覚えられてると思ってたのにー。なんだかショック…」
「ごめんごめん。で、俺に何の用?」
「いやいや、君がいつものグループに疎外されてるみたいだからさー。可哀想でタマが声かけたんだよっ」
猫のように可愛いやつだな……。雰囲気も猫っぽいし、たまに見える八重歯なんかまさに猫。
でも、猫又さん優しいな。小柄で可愛いし、西園寺さんがいなかったら一番の美少女と思えるくらい。
「なにかあったの?」
「いや、なにもないよ。心配してくれてありがと」
頭を撫でる。
……はっ。猫みたいだからつい、頭を撫でてしまった!
「ご、ごめん」
「気持ちよかったにゃあぁ……」
「うん?」
「ねえ、たまにでいいからタマの頭撫でてよ。撫でられ心地がよかったんだ」
顔近いって!
ま、まあ。俺ができることならいいけどさ。
「まあ、わかった」
「よしっ!こんな美少女の頭撫でられるなんて〜、君も幸運だねぇー」
「そうか?」
「そうにゃ。あ、もう朝のホームルーム始まるね。じゃ、またねー」
……かわいかったあ。
授業という授業が始まった。
一時間目は体育。俺は更衣室に向かう。その途中にあのグループと顔合わせるとあからさまに不機嫌な顔をされた。
くっそ…。あんにゃろう。
「喧嘩売っとんのかあいつらあ!」
更衣室のど真ん中で叫んだ。
ああ、ムカつく。ムカつくんだよほんと。なんで顔合わせたら不機嫌な顔すんだよ。俺なにもしてねえだろ。持たざる者の嫉妬か?女々しいぞ。
怒りに任せジャージに着替える。
「終わり!さ、向かおう」
もう何も考えねえ。
と思っていた時期もありました。
やっべ。鼻血でそう。
あ、あの。制服からでもわかってましたが西園寺さんのおっぱいでかくないっすか!?ジャージだと余計強調されてるっつうか……。その、一言言うならありがとうございます!
「ん?どうしたの久太くん。鼻押さえて」
「い、いやっ?な、なんでもない」
ちくしょう。童貞だからこんなことで興奮しちまってるよ!これじゃ西園寺さんにキモいって思われる!イケメンだけどむっつりスケベで残念な変態と思われる!
「あ、なに?暑くて逆上せてる?鼻血でそうなの?」
はい。ただ理由が違います。
俺は頷いた。
「うーん。とりあえず保健室いく?」
「い、いやいい。頑張る」
理性を持たせることを頑張る。
煩悩なんかには決して負けないぞ!えいえいおー!
語尾に「にゃ」とつけるのはいかんせんあざとくないですか?
つけるときは恥じらいながら無理やり言わされてるように上目遣いの涙目で猫の手やりながら「にゃ」と言われたほうが断然萌える