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父親失格の父

はっきり言おう。俺は父さんが嫌いだ。

多分、あっちも俺のこと嫌いだ。お互い嫌いである。実の父だというのになぜ嫌いというのか。それは差別から始まる。


瑞穂は女の子で妹ということもあり、たくさん父に可愛がられてきた。欲しいものはできうる限り買い与えていた。

俺にはそんなものはない。兄貴なんだから我慢しろと言われた。それはまだよかった。


ある時、家族で外食に行くことになった。

だけれど、俺は行かなかった。行かなかったというよりは行くことが出来なかった。伝えられてないし、気づかぬうちにいなかった。


そのときから、俺は父さんを嫌いになった。


「すいません。西園寺さん。今日はちょっと帰ります」

「なんか用事が?」

「ええ。これから会いたくないやつに会いに行ってきます」

「そうかい。頑張って。車は出してあげるからそれ乗って帰りなさい。それと……空。念のためについて行って」


俺は立ち上がり家から出て行った。

車に乗り、自宅の住所を告げて向かわせる。俺は実のところ帰りたくない。だが、瑞穂が帰って来いといった。

仕方なく、帰る。


父が単身赴任から戻るのは聞かされてなかった。これからあいつが家にいるのは嫌だ。


「到着致しました」


家について、俺は礼を述べてから玄関の扉を開く。


家に入ると、瑞穂の怒鳴り声が聞こえてきた。


「父さんマジでうざい!あっちいけ!」

「そんなこと言うなよ。父さん悲しいぞ?ほら、いこうよ」

「うるさいつってんだろ!」

「おっと。危ないなあ」


ああ、たしかに父がいる。

会いたくもねえ。俺と目を合わすと基本的に無視か舌打ちする父。実の父だとは思いたくない。

母は一体何をしてるのか…。あいつの暴挙を止めないのか。


まあいい。瑞穂を助けよう。


「瑞穂。ただいま」

「兄さん!」

「……ちっ」

「なんだよ。お前はあっちいけ。二度と帰ってくんなカス」

「うるせえな出来損ない」


俺を見るや否やに睨みつけてくる。

こいつも俺のことを息子だとは思っていないのだろう。父親失格なのだ。

もはや、こいつは瑞穂しか見ていない。俺との血縁関係はあるがら形だけだ。


「瑞穂。こんなやつのことは放っておいてご飯食べにいこう。父さん美味しいお店知ってるんだ」

「嫌だ。行きたくない」


父さんは笑顔で誘うも瑞穂は必死に断っている。

この様子から見るにさっきから延々と誘われているのだろうな。

というか、俺を連れて行かないあたり俺は連れていかないらしい。


「なんでかな?父さん、瑞穂が喜ぶものを与えようとしてるだけなのに」

「そういうのがうざいの!」

「良いじゃないか」

「やだ。私を連れて行きたいなら兄さんも一緒に連れてってね」


と、俺の腕に抱きついてくる。父さんは不満げな顔をして、俺を睨んでくる。

まるで俺が悪いとか言わんばかりだが、俺は悪くねえだろう。父さんよ。


「……久太。ご飯、食べに、いかないか」


誘うのが嫌なようで顔を歪めながら引きつった笑みでさそってくる。

はは、俺がいくと思ったのかな?


「やだよ。瑞穂。俺と二人で食べにいこうか」

「うん。兄さんと二人でならいいよ」


俺は瑞穂を連れて、家を出る。そういえば外に西園寺さんがいたんでした。西園寺さんに一言断っておき、西園寺さんを帰らせた後、俺らはファミレスに向かう。

ファミレスの席に俺らは座る。


「それにしても瑞穂も父さんのこと嫌いなんだな」

「うん。生理的に無理」


生理的に無理ときたか。これは本当に無理な証だ。

俺も昔言われたなあ……。中学生のときにオクラホマミキサーを踊るということで踊ってたっけある女子が「顔が生理的に無理」って言われて。あの時はほんと、泣いた。


「嫌よ嫌よも好きなうちだ。本当はすきなんだろう?」


と、知った声が聞こえて来た。

そこを向くと父さんが、なぜかいた。


「なんでいるんだよ父さん」

「心配だからついてきたに決まってるだろう。瑞穂。ここよりいいお店を父さん知ってるから食べにいこう」

「……殺す!」

「気持ちはわかるけど落ち着け。こいつ殺しても意味ないよ」


あと父さん早く気づけよ。実の子供二人に嫌われてるってことを。

そしてなんで父さんがここにいるんだ。


「……兄さん。一つお願いあるんだけど」

「なんだ?」

「兄さんの友だちの家に泊めて欲しい」

「……なんで?」

「父さんの顔見たくない。見てると殺意湧いてくるからうっかり殺しそうになる。父さんがまたいなくなるまで家出する」

「……わかった」


どこのお家がいいかな。

多分安全なのはないけど……。まあ、守ってくれそうなやつなら一人心当たりがある。

俺はそいつに電話をかけた。


『何用でござるか?久太氏』

「ああ、隆?一つお願いがあるんだ」

『なんでござる?お願いなんて珍しいでござるな』

「俺の妹を暫く泊めてあげてほしい」

『……今なんと?』

「俺の妹を……」

『ひゃっはああああああ!久太氏!あなたは神でござるか!』


……なに妹で喜んでるんだ?

確かに俺の妹は可愛い。可愛いし、一緒にいたら嬉しいとも思える。だけれど、そこまでか?


「ともかく、今から連れて行くから泊めてやってくれ」

『了解したでござる!千夏、今から部屋を片付けるのだ!』

『めんどい。きも。兄貴やれば』

『むう。仕方ないでござるな。それじゃ、待ってるでござる!』






そして、隆の家の前。

俺はインターホンを鳴らす。


「はいはーい」


女の子の声が聞こえた。


「……どちらさま?」

「ああ、俺は隆の友達の小鳥遊 久太。こっちは妹の瑞穂」

「ども」

「君は隆の妹?」

「ええ。誠に遺憾ながら」


隆は妹に嫌われてるのか……。

で、当の本人は出てこないのか。何をしてるんだろう。


「で、兄貴の友達がうちに何の用ですか?」

「あぁ、申し訳ないんだけど瑞穂泊めてくれるかな。今家に帰らせたくないんだ」

「なにかあったのですか?」

「いや、ちょいとした犯罪者っぽい人がいるからさ、危なくて」

「それは大変じゃないですか!今すぐ警察呼ばないと…」

「いや、犯罪は犯してないんだよ。スレスレのことしかしてない」


いや、でも嫌がる瑞穂にスク水ニーソを履かせるのは近親相姦とかなんかじゃないのか?

よくわからんな。


「まあ、危ないから家に泊めさせてあげて」

「わかりました」

「瑞穂。ここの人の家は大丈夫だぞ。そんな警戒しないでもいい」

「兄貴にさえ注意していただければ大丈夫だよ」


どんだけ隆嫌いなんだよ。


「ささ、家にどぞどぞ」


俺は隆の家にあがる。

隆の家は普通の一軒家という感じだ。リビングはソファがあり、テーブルもある。リビングを見渡せる位置にダイニングキッチンが作られており、一般家庭と同じような感じ。


「それじゃ、俺ちょっと隆と話してくるから。瑞穂は…えと」

「千夏です」

「千夏さんと話してて」


俺は席を立ち、隆の部屋に向かう。


「隆。久太だ。入るぞ」

『構わないでござるよ!』


中から威勢のいい声が聞こえたので躊躇なくはいる。

部屋を開けるとピンク色の空間が。俺はそっと扉を閉めた。


「ちょお!?なんで閉じるんでござるか!?」


ドアを開けて隆が抗議してくる。

いや、その部屋男の部屋じゃねえし、前に来た時と全然違うんだが。前はすきなアニメのポスターを貼りまくってただろうが。それはどうした。


「中に入るでござるよ」

「あ、ああ」


俺は中に入る。

ピンクのクッション、ピンクの絨毯。漫画の中の女の子の部屋かよ。理想を持ちすぎ。女の子の部屋こんなピンクだらけじゃねえよ。いや、確かに明るい色は多いがピンクって……。


「なあ、この部屋模様替えしたのか?」

「ふふん。そうでござる。久太氏の妹が泊まるのなら女の子らしい部屋にしようと思って。ここは久太氏の妹に譲って拙者はリビングで寝るでござる。拙者、女の子と一緒に寝れる勇気は持ち合わせておらぬ紳士でござるからな……」

「あ、そう……」

「それで、何かあったのでござるか?妹を泊めてほしいなぞと」

「ああ、まあ、俺の父さんが帰って来てるから泊めてやってほしいんだ」

「ふむ?父が帰って来ただけで泊めてほしいとは。相当嫌いなのでござるか」

「娘愛が半端ねえからな。犯罪ギリギリまでやらかしてるから危険なんだよ」

「なるほど!意図は理解したでござる。拙者は久太氏の妹を死守すればいいのでござるね!ならば非モテ集団全員の力を賭してこの戦に臨むでござるよ!世は戦国時代でござる!」

「いや、今平成だけど。ま、とりあえず頼んだわ」

「ガッテン承知!」


敬礼する隆。

やっぱ信頼できるのは仲間だよな。








主人公は父と対面したら口がものすごく悪くなります。SAN値が減り続けているのでいつ発狂するかわかりません。


大幅修正いたしました。

ポルノに触れてるということなので触れないように修正いたしました。

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イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
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