非モテ集団新たなメンバー加入
実行委員はつつがなく進む。
まあ、会長が優秀すぎて事前準備は粗方終わり、あとは有志、教室の貸し出しとかしかやることがない。
学校祭目前一週間。あと期間は七日ある。七日しかないのか?
で、まあ、結構猶予がない今でも、普通に余裕がある。
いや、ほんと。中学校のときの文化祭は一週間前といったらだいたい死んでたんだけど。クラスのやつ。
俺は、まあ、遠回しに戦力外通告受けてたんで、様子しか知らないんだけどね。
永山の野郎許さない。
とまあ、恨みは置いておいてだ。
「ひゃっはあああ!ゲームたんのしいいい!」
「拙者、音ゲーだけには自信あるでござる」
「クレーンなら任せろっす。一発でとれるっすよ」
「ゲーム……!」
「たくさんあるねー」
俺たちはゲーセンに来ていた。帰って来た西園寺さんも含め。あと、長瀬も。
あのー、というか、長瀬さん。なんでいるんですかね。あなた非モテ集団でもなんでもないでしょ。
「私も……孤独。だから……集団に……いれて」
……まじすか。
いや、あの。この集団ってそんな好き好んで入るものじゃないよ?ただこの集団は出来損ないの集まりですよ?
「拙者らの」
「仲間に」
「なりたいんすて?」
非モテ集団の目つきが厳しくなった。
まあ、そりゃ不審に思うわ。
だって、この集団に入る=SEISHUN NO OWARIなんだぞ?モテない人たちの集まりだよ?
「ふむ。まあ、いいだろう」
「でも、いいんすか?諦めて。確かに俺諦めてから楽になったっすけどでも好き好んで入るとこじゃないっすよ?」
「そうだ。拙者ら、自分で言うのもなんなのだがオススメはしないでござるよ?この集団に入るくらいなら孤独の方がマシと考える輩もいるでござるのだ」
「え?私はいい集団だと思うけど……」
西園寺さん毒されて来てるわ。こりゃ、完全に俺らの仲間入りだよ。完全に悪の道に進ませたよ。
西園寺さんはいい集団だと思うけどなんて呼ばれてるかわかってるならそれは勘違いとわかるでしょう。非モテだぞ?「非」という字で完全に後ろ向きだよ?
「入り……たい」
「頑なっすね」
「お前に、その覚悟はあるか?」
「ある」
長瀬と恭一郎が見つめ合う。
「よし、仲間だ」
「おう」
二人は握手を交わしていた。
なんだこれ。
「さ、ゲームやるぞ。長瀬。下の名前なんていうんだ?」
「……小寄」
「小寄。相手になれ」
「……わたし、強いからね」
「俺も強えぞ?」
意気揚々とゲーム台に向かう。
最初はナイナイという音ゲーをやるらしい。俺も何回かやったことあるがこれって何気にむずい。
レベルが上がるにつれて腕をたくさん動かさないといけないのだ。
「じゃ、まず小寄の実力を見せてくれ」
「わかった」
小寄はポケットから手袋を取り出す。
あ、ガチ勢だこいつ。
それからは、もう圧巻だった。
ナイナイ最高難易度の譜面の最高レベルを寸分の狂いなく正確に叩いていた。
もはや機械といえるほどに。さすがの恭一郎も、腰を抜かしていた。
「まじか。お前、どんだけやりこんでるんだよ!」
「小六の…ときから」
「実装されたのがたしか20××年だから……実装してからやってるのか!」
「それしか……すること……なかった」
なるほど。することがなかったからナイナイに打ち込んだと。
すげえ。何かにのめり込んだらなかなかやめないタイプだ。
「なるほど。どうりで……」
「私は……ゲームセンターの……ゲームなら……だいたい…とくい」
「そうなの?すごい!長瀬さんすごいよ!」
「さ…さいおんじ……さん?」
「すごいよね?久太くん」
「ああ。すごいと思うぞ。もしかして恭一郎よりゲーマーなんじゃないか?」
「……俺、もう旧型なのか。時代は新型に移り変わっていくのか……」
「でも…ボードゲーム…とか……カードゲームは……無理……」
ああ、ボードゲームとカードゲームは恭一郎強いぞ。たしかあるカードゲームでは世界行ってるはず。優勝は逃してるもののランキングには入ってるほど強い。
「恭一郎を揺るがす存在……。恭一郎にとってはラスボス的存在でござるな」
「なにその無理ゲー。こんなのに勝てるわけねえだろ!」
「何か不得意なジャンルを見つけるっす!恭一郎はオールジャンルでいける強みがある!」
そうだ。小寄にはなにか不得意なジャンルがあるだろう。
っと。なんだろう。腹が、痛い。
「ちょっとトイレ行ってくる」




