伊織の職場見学
民天堂。西園寺グループの会社の一角である。
民天堂はさまざまな分野に手を出し、売り上げも好調。市場では一、二を争うトップ企業だ。
「こちらがわが社の工場になります」
私は、パパの会社の工場に職場見学にきました。
学校で職場見学をやるとなって全員民天堂を見てみたいと言っていたので先生がパパにアポを取っていた。私はパパが社長ということを隠しているので普通に私づてじゃなくて電話したみたいだ。
……なんか、小さい頃から来ているから新鮮味がないというか。なんというか……。
「すげー。機械的!」
「最新技術ってスゲーな!」
確かにすごいけどもう見慣れたんだよな。
私、違うとこ見たかった。パパの会社はもう飽きたし。
「ねえねえ伊織。すごいと思わない? これ!」
「あ、う、うん。すごいよね」
私のパパが工場を拡大させたんだ。
ここはお菓子工場。お菓子をたくさん作っている場所。コンベアにはお菓子がたくさん並んでいる。あのお菓子はマドレーヌを小さくしたような……。チョコマドレーヌだったかな?
「これって食べさせてもらえるのかな? 出来立てほやほやを」
「えー、無理じゃない? みんな真面目に働いているしもらえなさそう。ケチっぽい」
「でも食べたいよね。出来立て」
……頼んでみるかな。私も出来立ては久々に食べたいし。
私は案内してくれる人に質問を投げる。
「これって出来立て食べさせてもらえるんですかー?」
「はい。いいですよ。この後出来立てと商品を食べ比べてもらう予定……。あ、社長。おはようございます」
「おう。おはよう」
えっ!? なんでパパがいるの!?
「今は何してるんだ?」
「高校生の案内をしております」
「ああ。そうだったな。俺は西園寺 久太です。よろしくお願いします」
「「「宜しくお願い致します!」」」
隠れよう。見つからないように。
「あっ、この人たちって娘が通っている高校の人たち?」
「げっ、ママも!?」
あっ!? 声出てしまった!
「げってそれはないだろ伊織……」
「伊織。げってなんですかげって」
「い、いや、あの。なんでもなくて……。いいからあっちいって! お願いだから!」
「へいへい。さ、俺は仕事行くから空は家に帰ってもいいぞ」
「はーい。それではさようなら。みなさん」
ママとパパは去っていった。
その瞬間、みんなの眼が私に向く。
「お前んちここの社長なの!?」
「パパカッコイイね!」
「ママ可愛いなおい!」
あああ、友達以外には隠してたのにー!
だからここには来たくなかったんだよ。なんて日だ!
そしてこの後、めちゃくちゃお菓子を食べた




