新年を迎えて②
家に帰ると瑞穂と佳が出迎えてくれた。
「はい、伊織ちゃん。遅くなったけどお年玉」
「大事に使いなねー」
そういや新年か……。
「あ、ありがと」
瑞穂と佳から渡されて、少し頬を赤く染めていた。
嬉しいのかな?
「兄さん。小波さんたちも今来るって言ってる」
「マジで?」
なに?新年早々くんのあいつら。
マジで暇だな…。
「ってかもう来てるでござるよ!」
「死ね!」
俺は咄嗟に手を出してしまった。
隆のみぞおちに俺のエルボーが決まり、隆は腹を抑えてうずくまった。
「俺の背後に立つな」
「どこの暗殺者でござるか……」
いや、条件反射でつい。
「あ、伊織ちゃん。これお年玉でござる」
「え?いいんですか?」
「いいのでござる。まあ、少ないけど…」
「ありがとうございます!」
「……可愛い」
うちの娘取るなよ?というか、お前には奥さんいるだろ!ヴァレンタインっていうフランスの娘さんがよ!
「おーっす。来てやったぞ」
「子どもまたできたんすねー」
「小鳥遊…じゃなかった。西園寺くん。おめでとうございます」
今度は光家族と恭一郎が来た。
「伊織ちゃん。お年玉」
「はい。これはうちからっす」
「わあ!二人ともありがとうございます!」
伊織結構な人からお年玉もらってるなあ。
俺も光の息子と娘にあげるか……。何円がいいだろう。まあ、二万ぐらいか?
高いかな…。まあ、その方が喜ぶんじゃないかね。
「ククク…古き世が明け、また新たな物語が始まった……。共に行こうぞ久太!」
「ちゃんと入りなさい梵」
うわ、なんか変なやつきた。
通訳してみるとあけましておめでとう。今年もよろしくねだ。
「久太の血を継承せし者よ、妾からも祝福をやろう」
「お年玉あげる。はい」
「あ、ありがとう、ございます」
そら戸惑うわ。
通訳してみるとお年玉あげますってことだよ。わかりづらいわ。
「あけおめー!」
「あけましておめでとうございます」
今度は吉祥と村上。
村上は結婚しているが吉祥はしていないらしい。誰かに縛られたくないとか言ってるんだよ。結婚適齢期はもうとっくに過ぎてる。
「はい、伊織ちゃんこれあげる」
「伊織さん。これ、お年玉です。あと、久太さん。出産祝いです」
「おう。ありがとう。これ、息子さんにやっといてくれ」
「ありがとうございます」
俺は出産祝いを受け取った。
これで、来る人は全部だろうか。
「ねえ、パパ。今年お年玉が凄いんだけど……。私明日死ぬわけじゃないよね?」
「死なないだろ。あと、パパとママからもお年玉だ」
ポチ袋を渡す。
「やったっ!」
喜ぶ伊織。
昔は俺らも貰う側だったんだよ。ありえないときは10万以上貰ったことがあったかな。
「……あけまして、おめでとうございます」
「……ひゃあ!?」
背後に誰か立っていた。
振り返ると、ちっこい女の人が。誰だろうかと頭の中で考えてみる。
……この顔、もしかして。
「お前、小寄か?」
「そうです。お久しぶりですね」
「お、おう。久しぶり」
何十年ぶりだよお前は。




