クリスマスがやってきた②
吉祥の弟が、きた。
「そもそも姉さん。何も持たないでクリスマスパーティーいってどうするの。僕急いで先回りしたんだよ? というか、来るの遅いよね? 絶対どこか寄り道したでしょ」
「あー、えっと、こ、コンビニに……」
「なんでよったの?」
「な、なんか面白そうな雑誌が……」
「そんなのにつられんなバカ姉さん! ものにつられたらいつか痛い目見るよ。行く用事があったならまだしも立ち読みしたかっただけだったらすぐに行きなさい」
おお、説教されてる。
これがよくある光景なのか、村上は腰を下ろしていた。
「これ、小鳥遊さんがやったんですか?」
「あ、ああ」
俺は質問に答えるけど、なんか弟に叱られている吉祥が気になる。
吉祥は縮こまっていた。
「それに、今日母さんと喧嘩したんだって? なんで」
「だってえ。母さんが私のゲーム勝手にクリアしたんだもん」
「だからといって母さんに迷惑をかけない。そもそも母さんがクリアする嫌がらせをしたのは姉さんに原因があるんだからね」
「わ、私に?」
「高校時代とか今も休みは服を泥だらけにして帰ってきて……。誰がそれを洗ってるのさ」
「か、母さんです」
「朝起きて髪を整えずに学校に行こうとした姉さんの髪を整えたのは?」
「母さんです……」
「友達を怪我させて謝りに行ったのは?」
「か、かか、母さんです……」
「だからだよ! 母さんは姉さんの尻拭いでストレスたまってるの! それくらいの嫌がらせで怒るな!」
「ごめんなさいいぃ!」
吉祥は弟には弱いのか。
と、怒られていると次々ときた。隆たちがきて、梵たちがきて……。そして、必ず吉祥について尋ねてきたので弟に叱られてると教えてあげた。
まあ、そろそろ可哀想だし止めてあげよう。
「まあまあ。君、そこらへんで落ち着いたら? 今日はクリスマスパーティーなんだし、怒るのはあとでさ」
「……そうですね。わかりました」
「神よ……!」
どうだい。俺を崇めよ。
と、いったところで今度は女子で料理が始まった。
料理長に書いてもらったレシピ本を渡し、男子は大広間で待っていた。
吉祥の弟も急遽参加することになった。
帰ろうとしたのだが、ここまできてもらって帰らせるというわけにもいかず、俺は誘ってみた。
あと、あとで村上家の兄妹も来るらしい。
今俺がしてるのは机を用意してそこの上にプレゼントを置き、そこに番号を張り付けるという作業。クリスマスプレゼントはくじ引きでやるらしく、くじを用意していたりとかした。
それにしても、大きさがばらばらだな。結構でっかい奴もあれば片手に乗るほど小さいのもある。何を買ったのかはわからないが、楽しみだ。
すると、扉が開かれて、従業員さんが料理を運んできた。
これは空達が作ったのか……。ところどころ焦げてるものもあるがそれはご愛嬌かな……。
「ふふふ……。じゃ、はじめよーーーーー! パーティーーーー!」




