小学校のクラスメイト②
三木谷 博一はガキ大将的な存在であり、みんなから慕われて、弱いものを見下していた存在だった。俺もその三木谷にいじめを受けていた。
消しゴムとかならまだいいのだ。だがしかし、親にまで手を広げるとなると話は別だ。三木谷は俺の家のポストに鼠の死体だとかをいれてきやがった。母さんは、それを見て失神するほど驚いていたのだ。
俺は三木谷に詰め寄るも三木谷は知らぬ存ぜぬの貫き通しで、あれ以来、俺は三木谷だけは許せなくなった。
その三木谷が、きた。
「……三木谷君が最後かな……」
「じゃあ、みんなで小学校見学しようよ。もう許可は取ってあるから」
みんなは動いていった。
俺は三木谷を睨みつけていると三木谷が俺の視線に気が付いたようで。「ひっ」と声を上げてそそくさと去っていった。
俺は三木谷を追う。
嫌いなやつだからすこしばかり復讐がしたい。俺はまだ憎んでいたりする。過去の事といえば過去のことだが、怨恨がないわけではない。
中学も三木谷にいじめを受けていたので俺は恨みがたくさんあるのだ。
「……な、なんで俺の後をついてくるんですか」
「…………」
俺は三木谷の言葉を無視し、睨みつけながら移動した。
小学校の時の三木谷とは見る影もない。今はびくびくしながら動いている臆病者……。昔とは大違いだ。
「三木谷。俺は忘れないからな。親にまで手を出しやがって」
「ごめん……。それは、俺が、悪かった。今、深く反省して……って、お、お前……小鳥遊、なのか?」
「そうだ。お前にいじめられていた小鳥遊だ」
「ご、ごめんなさい! あ、あの時は……その、俺も、傲慢になってたっていうか、その…人の痛みも知らなかった子供だったっていうか」
「それがいいわけか」
「ゆ、許されないことはわかってます……で、でも……その」
もどかしいように答える。これも新手のいじめか?
と悩んでいると前に歩いていた男子が教えてくれた。
「そいつ、高校でいじめられてたんだよ。で、びびって強がれねえってわけ」
なるほど。因果応報というやつだな。
それは自業自得だし仕方ない。よかったじゃないか。俺の痛みを知ることができて。仲間と言いたくはないが仲間だ。
「許してください……。俺がしたことは…わかってる、けど、許してください」
必死に許しを請う三木谷。
なんだか惨めだった。前まで俺を苛めていた人間が、惨めにずっと謝ってきて。でも、これも演技かもしれないと疑ってしまう。
だからこそ、悩ましい。許したい。けれど、信じられないから。
「……許してもいいが条件がある」
「な、なんですか?」
「俺を苛めてきた分の慰謝料、お前にケガさせられたときの治療費を返してもらう。ざっと……70万近くか」
何度もケガさせられてきて、深く深く傷ついて。それくらいは求めたい。これでも安いほうなのだ。自分としては。
譲歩してやった分有難く思え。
「わかりました……。これ終わったら銀行いって下ろしてきます。なので……」
「わかった。それでいいよ」
で、見学が終わって解散となった。
俺は三木谷と一緒に銀行まで来た。隣には三木谷の彼女を連れて。彼女作ってるのかよ。
「約束の……70万です。本当にごめんなさい」
頭を下げて渡してくる。
俺はその70万を受け取った。俺はカバンの中に入れる。
「その、小鳥遊さん」
「なんだ?」
「三木谷君は、昔いじめていたかもしれませんが今はいい人なんです。それは理解しておいてくれると嬉しいです……」
「ああ、わかったよ。今は今、昔は昔って言いたいんだろ」
俺は手を振り去っていった。
その時、ずっと謝り続けていた三木谷を尻目に。
「これで、贖罪は……まだかな」
「そうだよ。悪いことしたんだから……小鳥遊さんだけじゃなく他の人にもいいことをしなきゃ」




