プレゼント選びと瑞穂のマシンガン
俺は電話してクリスマスパーティーのことを伝えてみた。
『拙者参加するでござる。わくわくするでござるなあ』
『俺も暇だし参加するよ。どうせクリぼっちだから予定ないし』
『ああ、その日春とデートする約束が……。春も連れて行っていいなら行くっす』
といってきたので俺は宮古さんも連れてきていいって言ったのでそのことを報告した。
クリスマスパーティーか。中学の頃、みんなでクリスマスパーティーやろうって言いだした委員長が俺以外のクラスメイトを誘っていったのは覚えていて、しかも誘わなかったくせに当日ノリ悪いとか言われて散々だった記憶がある。
そもそも誘われてねえし、なんて思って隣の部屋で邪魔するように熱唱してやった。
とまあ、全然いい思い出はない。
だがしかし、今度は本格的にクリスマスパーティーに誘われているのだ。俺も、楽しみで仕方ない。
だから、もはやプレゼントを厳選しに来ている。
交換会ってことは誰にわたるかわからないだろ? 女性のほうが多いからなるべく女性が喜ぶものがいいよな。
美容とか……。ダイエット器具とかか。
特定の人ならわかりやすいんだが。
例えば吉祥なら、遊び道具で村上なら小説とか。だけどこう大雑把なのはどうも苦手だ。
なにがいいんだろう。なるべく普段使えるものがいいよな? たとえばこの食用油詰め合わせセットとか。いや、これはないな。うん。ない。
となるとなんだ? 一番いいのはタオルだろうが……。なんかかぶりそうだ。
だとすると、かぶらなくて尚且つ受けるもの。
こういうのって女性目線のほうがいいか。女性のほうが多いんだし、女性がもらって嬉しいもの。となるとやっぱ部屋の景観にかかわるものとかか。可愛らしい形の加湿器とか、芳香剤のスティックとかいろいろある。
うーむ。こういう雑貨って俺は苦手だな。
「なにがいいんだろうなあ……」
「あれ? 兄さん?」
「ん? ああ、瑞穂。来てたの……か?」
俺は瑞穂の隣の男子に目がいった。
み、瑞穂に彼氏が……!?
「と、隣のこは……」
「ん? ああ、友達の晴馬くん。今日一緒に買い物行かないかって誘われてきたんだ」
「どうりで朝からおしゃれしてるわけだよ……。で、デートか?」
「いやいや。私たちは付き合ってないし、買い物に付き合ってるだけだってえ」
いやいや。なんか隣の晴馬君傷ついてますよ? もしかしてこれは瑞穂に気があるんだな。でも気づいてもらえてないと……。なんか不憫な子っぽいな。
「そもそもデートってお互いを好きあってないとできないじゃん。私は晴馬君異性としては好きと思ってないよ」
「ぐほっ」
あああああ!? めった刺しにされてってるううううう!? やめたげて! 晴馬君のライフはもう0よ!
「まあ、友達としては面白いし好きだよ。ただ、ちょっとばかし声がでかくてうるさいっていうか」
「ぽぐあっ」
か、可哀想。
もう、ライフ残ってないんじゃないだろうか。
「あと反応が過剰なところとか」
「はげいっ」
瑞穂の言葉のマシンガンが続く。
ああ、真面目に見てられなくなってきた。それくらいでやめてあげて。隣ではもう倒れそうなほど傷つているから。もう重症だから。
「友達としてはいいけど異性としては嫌だ」
「…………」
あ、撃沈した。




