表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
245/291

村上家の兄妹②

 「きゅーた。おててつなご」

 「はいはい」


 俺は村上の幼稚園の妹である茉莉まつりちゃんに手をつなぐことをせびられ繋いでいた。

 茉莉ちゃんはとてもご機嫌である。左手では俺と手をつなぎ右手は買ってあげたアイスを持っていた。おい、溶けてる溶けてる。


 「あまーい」

 「そうだな」


 俺も左手に持ってるアイスをなめる。

 俺はチョコミントを選んだ。オーソドックスなバニラを選ぼうとしたがチョコミントが美味そうだったからチョコミントにした。

 くう。美味い。


 「きゅーた。ひとくちたべう?」

 「いいのか?」

 「うん。きゅーたにならあげう」


 まだラ行の発音がうまくできていない。可愛い。

 俺は差し出してきたバニラアイスを一口食べる。美味しい。バニラの濃厚な甘みが口の中を広がっていく。


 「……で、あいつらどこいったんだ……」


 現実を見てみよう。

 迷子になった。この歳になって。

 俺はふらふらとどっか行きそうになった茉莉ちゃんを監視していたらいつの間にか俺もはぐれてしまった。まあ、携帯で連絡すればいいだろうと思ったけど……。携帯は家に忘れてきたんだったってことを思い出した。


 まあ、詰んだ。


 「おねーちゃんたちまいごになった」

 「違う。俺らが迷子になった」

 「まつい、まいご?」

 「ああ。迷子」


 そういうと、茉莉ちゃんは泣き出してしまった。

 うわあああんと大声で泣きわめく茉莉ちゃん。俺はアイスを口にくわえ、抱っこしてあげた。


 しゃ、喋れない!

 俺は周りの人にすいませんと頭を下げながら一目のつかないところに行った。


 茉莉ちゃんを下ろし、アイスを急いで食べる。

 ……茉莉ちゃんのアイス、どっか落としてきちゃったか。


 「茉莉ちゃん。泣くなって」

 「まつい、まいごぉ」

 「俺もいるから。一緒にお姉ちゃん探そう」

 「……さがす?」

 「ああ。はぐれた村上……。お姉ちゃんたちを探そうっか」

 「……うん」


 泣き止んだ。

 子供って泣きやむポイントとかよくわからないからなあ。






 俺は疲れて寝てしまった茉莉ちゃんをおんぶしながら探していた。

 すると、一階のトイレの前に吉祥を発見してかけよっていく。


 「吉祥」

 「あ、見つけた!」


 吉祥は俺に駆け寄ってくる。


 「心配したんだよ。小鳥遊君。と、まつ……。ああ、寝ちゃったんだ」

 「疲れてな。で、他の奴は?」

 「……それが」


 と、吉祥は事情を話し始めた。

 どうやら吉祥も迷子らしい。携帯は前地面に落として画面が割れたってことで使えないらしく、連絡手段がないとのこと。

 俺もない。あらたに迷子メンバーが加わった瞬間となった。


 









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ