村上家の兄妹①
夏休みが終わった。
8月が過ぎ9月となった今、夏休みではしゃいでいた気分をリセットする。
海で日焼けしていた吉祥の肌も白く戻ってきており、逆になぜだか村上が少し日焼けしていた。なんでだろう?
「ああ、これは弟と一緒にプールで遊んで焼けたんです」
「ぶー。私も誘ってくれたら全力で遊んだのにー」
「だから誘わなかったんだよ美央ちゃん……」
「へえ。村上さんって弟居るんだ」
「いるよー。沙耶はね、弟三人に妹三人だったかな」
「すごい大家族だな」
結構な大所帯だ。夕飯とかものすごく騒がしくなりそう。
「高校生の弟と妹、中学生の弟、小学生の妹に幼稚園の弟と妹がいます」
「私も弟居るよ!」
へえ。どっちにも兄妹はいるんだな。
俺の知り合いで兄妹とかいないの恭一郎と空だけじゃないだろうか。一人っ子って。久我山さんとかは知らないけどさ。
「久太くんにも妹居たよね? 瑞穂ちゃん、だっけ」
「ああ、いるぞ」
「瑞穂ちゃんって高校何年生?」
「二年生だな」
「おお、麗と同い年じゃん!」
「麗?」
「私の妹です」
ああ、村上 麗っていうのね。
「あ、そだ。麗で思い出した。今日兄妹で買い物いくんじゃなかったっけ?」
「あ、そうだった。忘れてた。じゃあ、そろそろ私は帰るよ。それでは小鳥遊さん」
「え? 帰るの?」
「帰るけどどうしたの?」
「小鳥遊君お友達として紹介したらいいじゃん。余計な事される前にさ」
「……ああ、そうですね。余計な詮索される前に紹介しておいた方が楽ですね」
と、苦笑いを浮かべていた。
余計な詮索って、過去にされた経験があるのだろうか。
まあ、というわけで村上家と一緒に買い物に来たんだけど。空と一緒にね。さすがに空の秘密裏に行くわけにはいかないから許可を取ったっけ買いたいものがあるから自分も行くとついてきたのだ。
「こちらが私の友達の小鳥遊 久太さんと西園寺 空さん。二人は付き合ってるから私とくっつけようとかそんなことはしないようにね」
と、くぎを刺していた。
俺は吉祥になんでくぎを刺す必要があるのか聞いてみる。
「ああ、沙耶って男っ気ないから仲いい男子を無理やりくっつけようとしてるの」
「余計な世話……ってやつを焼かれてるのか」
「そうそう」
村上さんは静かそうだけど他はなんかうるさそうだ……。
「なーんだ。かっこいい人連れてきたから彼氏かと……。彼女いなかったらくっつけさせようとしたのになー」
「こら。私はそういうのやめてっていってるでしょ」
「でも彼氏作らないのって駄目じゃね? 美央姉ちゃんですら告白されたことあるのに姉ちゃんだけないのってやべえって!」
「「吉祥さん告白されたことあるの!?」」
「失礼だよ君たち!」
俺と空が声をそろえていった。
いや、意外だったから驚いた……。
「見た目は可愛いのになんでできないんだろーなー」
と、弟の一人がぼやいていた。
できない理由。これは俺の予想なんだけども。いつも本読んでたりして声をかけられても無視とかそういうことしていて、いつしか誰も声かけてくれなくなったとかそういうオチだと思う。
村上さんの性格上そうしてそうなんだけど。
「……さてと。余計な話してないで買い物しましょうか」
「露骨に詮索されるの嫌がったね」
……まさかさっきの予想あってたりなんかしちゃったりして。




