海へ行こう!④
昼過ぎになったので俺らは昼食をとることにした。
空が弁当を作ってきてくれたらしくそれをみんなでつっつくわけだが。結城のぶんはないとのこと。まあ、今日行くって伝えられたわけだし含まれてないのは無理もない。
なので結城には買って食べてもらうことになった。
「えー! 俺空ちゃんの手作り弁当食べたーい!」
「人数分しか用意していないので無理ですよ……。食べたかったら梵さんや禊さんに分けてもらってください……」
「だって。わけて?」
「ふっ。やるものか」
「絶対あなたにだけはあげないわ」
と、拒否していた。
「えー! 俺も食べたーい!」
「あなたねえ、急に行くっていって無理やり連れてきてもらってる身なんだから我慢しなさい。連れてきてもらえただけでも幸運なのよ。行くとしてもまずは私とか梵に言うのがまず礼儀でしょ。いきなり参加して自分の分があると思ってるの?」
「そ、そりゃないけどさ」
「でしょ? なら少しは我慢しなさい。わがまま言いすぎよ、あなた」
禊さん何もそこまで言わなくても。
「俺の分けてやるから。それでいいか?」
「おお! 心の友よ!」
「小鳥遊君! 甘やかしちゃだめよ」
「ここで食べなかったら後日俺も食べたいなとか言っていい寄ってくるだろ。だとしたら与えたほうがいいなと思ったんだよ」
大学の時に「飯食いたいから作ってください」とか平気でお願いしそうだ。
「ほら、これやるから」
「ありがとう!」
と、結城は弁当箱のほうを奪っていった。
これには、俺も驚きを隠せない。な、なんで弁当のほうを?
「お、おい」
「いただきます!」
「あ、おい!」
俺は後悔した。やっぱ分け与えるべきじゃなかった。
何を勘違いしたのか皿に取ってやった分ではなく俺の弁当箱本体をもっていきやがった。これには俺も少しムカッときた。ぶん殴りたいが、分けるといった手前殴ることはできない。
「おお、うまい!」
そうですか。
「こりゃ俺のとこにお嫁に来てもいいな。うん、というか、来てほしい」
……何を勝手なこと言ってくれてるんだ。
「空さん。俺と付き合わね?」
告りやがった!
やばい。俺の中で結城に対するヘイトが溜まっていく。狙ってやってるのか、それとも素でいってるのか判別しにくい。
「そこまでにしておきなさ」
「ごめんなさい」
空が断った。
意外だったのかなんでと聞く。
「俺ってかっこいいし優良だと思うよ。なんでダメなのか聞かせてもらえないかな」
「そもそも私には彼氏がいます。久太くんという」
「……まじで?」
「はい」
結城は俺のほうを向く。すると、笑顔で宣戦布告をしてきた。
「負けねえからな」
と、俺にこぶしを突き出してきた。
なんだろう。本当に腹が立ってきた。弁当を取られ、告白され、負けねえぞと言われて。すでに負けているということを言ったほうがいいのか? この勘違い野郎に。
俺は結城を睨んだ。
もう、俺は怒った。このバカに。俺は、本気で怒りを覚えた。
「――ふざけるな」




