海へ行こう!①
投稿した季節は冬、作品内は夏。うーむ。
待ち合わせは札幌駅だ。
俺は空の会社の人からワゴン車を借りて俺と空と黒沢姉妹、吉祥と村上、久我山さんの七人で行くつもりだったのだが。なんだか俺の知ってる人がいる。
「やあ、小鳥遊君。俺も同行させてもらうよっ!」
誰だっけこいつ。結城だったっけ。
黒沢姉妹が嫌そうにしているのを見て結城だとわかった。
「お前も行くの?」
「もちろんさ! こんな楽しいこと俺抜きではやらせないのさ」
禊さんがこめかみを押えている。ほんとに手が焼けそうだ。もう、身のこなしからして敬遠したい。金髪に染めてるし、何を勘違いしているのか耳にピアスとかしちゃってまあ。
それに、喋り方がちょっとうざい。
「というわけで、俺も参加しまーす!」
「ごめん……。振りまけなかった」
「愚物が。妾の視界に入るでないわ」
「そんなこというなよ~。あ、そこの可愛い子。俺は結城 泰斗っていいます。以後よろしくね?」
と、ウインクまでしたわけだが。
村上は明らかに嫌そうにしていて、明るい吉祥さんでさえも引いている。露骨に嫌そうにしているっていうか、なんか黒沢姉妹のとこにいった。
「ありゃりゃ。シャイなのかな」
明らかにシャイじゃねえよ。お前に引いてんだよ。
「お前らはやく乗り込め。あ、結城は助手席な」
「なんで!?」
「黒沢たちと切り離すんだよ」
「俺のハーレムがあ!」
どうせ後部座席の一番後ろに座って隣も前も女の子ーって状況にしたかったんだろう。それはなんとなく察している。気づかないわけがない。
俺はちらっと黒沢姉妹のほうを見てみると親指を立てていた。
俺は「嫌だ! 隣が男なのは嫌だあ!」なんて喚いている結城を無理やり助手席に詰め込んだ。空達も乗り込んでいく。
俺も運転手座席に座って、エンジンをかけた。
「忘れ物はないか?」
「水着もあるし日焼け止めもある」
「崇高なる妾に忘却の魔法が効くとでも?」
みんな忘れ物はないようだった。
「じゃ、出発進行!」
俺は近くの海……石狩のほうに向けて進んでいく。
車を走らせたら二十分くらいでつくだろうな。
「ねえ、小鳥遊君。セックスしたことある?」
「ねえよ。というか、話しかけんな。気が散る」
俺はまだ慣れない運転、しかも人を乗せているという緊迫した状況に追い込まれている。自分の運転センスはなかなかのものだと思うがそれでも不安はぬぐえない。
俺に話しかけんなと言われた結城は後ろを向いた。
「ねえ、暇だからだれか俺と遊ぼうよ!」
誰も答えない。さっきまで静かだったのに一瞬にして静寂に包まれたぞ……。
「……ねえ、水差さないで」
「ごめんって。俺暇なんだー。小鳥遊君が構ってくれないから」
知るかよ! 俺は運転で忙しいんだっての!
「小鳥遊君は運転してるでしょ。そっとしときなよ」
「えーつまんなーい!」
「子供みたいな駄々をこねるな!」
禊さんに注意されても堪えてはいなかった。
本当は海につくとこまでやりたかった……。




