海に行く約束
夏休みといえどずっと家で呆けているわけにはいかない。
今日は図書館に来ていた。ここは前に我慢していた場所でもある。そこで俺は経営学について勉強をしていた。
図書館は基本的静かだし、家にいるより集中できる。
「あれ、小鳥遊くんじゃん」
「お、吉祥さんに村上さん」
「さんなんて私にはいらないよー! それより、小鳥遊君は勉強かな?」
「そうだ……。って吉祥肌黒くなってんな」
夏休み前は肌は白かったはずだ。今黒いということは日焼けサロンにいったのか?
「そう! 海で焼いてきた!」
「日焼け止めクリーム塗るのをだるがって塗らなかったの……」
「私は真夏の女よ!」
こりゃまた夏休みを謳歌していることで。
海か。二年前に隆たちといったきり行ってないな。
「結構満喫してるな」
「うん! 夏は全力で楽しむのが私のモットー」
「これで小学校とか夏休みの宿題をしてなくて最終日に私も手伝わされてるんですよ」
いろんな意味で害悪だな!?
村上さんは小学生から一緒らしいけど……。小学生の時に宿題を手伝わされたとか可哀想なんだけど。というか甘やかしちゃダメでしょ。つけあがるよ?
「で、お二人さんは何しに図書館に?」
「うーん。知人探し」
「知ってる人いないかどうか探しに行こうっていってきたんです。美央ちゃん。これで賭けは私の勝ち。あとでアイスね」
「うううう! ぐやじいいいいいい!」
おい。図書館内は静かにしろ。
というかなんだよ賭けって。何をかけてたんだよ。
「賭けってなんだよ」
「図書館に知ってる人がいたら美央ちゃんが私にアイスを奢っていなかったら私が美央ちゃんにアイスを奢るって約束です。小鳥遊さん。いてくれてありがとうございました」
「ど、どういたしまして」
俺がいて吉祥が奢らされる羽目になるらしい。
アイスか。俺なら遠慮なしならハーゲンダッツ。高いからちょいとした高級感が味わえるのだ。
「あ、そうだ。今度また海に行くんですけどどうです?」
「海、か」
それもいいな。海は冷たそうだ。
「いく。空も誘っていいだろ?」
「もちろん。今度は黒沢姉妹と空ちゃんを誘おうかなって!」
「私は誘われないのかな?」
「く、久我山先輩!?」
というか、神出鬼没だなこの人!
「デュフフ。海は私も好きだよ。リア充の写真を撮れるからね! 行こう、海!」
この先輩どんだけ好きなんだよリア充!
「可愛い女の子が……。ぐへへ。可愛い女の子がたくさんいるんだろうなぁ! ナンパしよ!」
違いました。リア充じゃなくて可愛い女の子が好きなだけでした。
というかナンパすんのかよ!? その身長でナンパって……。迷子の子供にしか見えないし、話しかけたとしても絶対相手されないぞ……。
久我山さん背が超低いし……。小学校低学年並みだし……。
顔も童顔だから子供に見間違われる。絶対。




