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京都で過ごす夏休み⑥

家に戻り、財布を……って、財布がない!?


俺のポッケを触る。財布がない……!

落とした?走って帰った時にもしかして……。あ、あんなかに数万円入ってんのに!


「どうしたの?」

「財布が、ない!」


ど、どうしよう!?財布どこかに落とした!!


「それ大変なことじゃん!佳たちにも手伝ってもらってみんなで探そう」





俺はアニライトから帰る道を辿る。

財布らしきものは落ちていなかった。通話をつなげて話しながら探す。


『交番にも届けられてないらしいよ』

『誰かにパクられた?』

『何円入ってたの?』

「七万近く」


結構使うと思って多めに持ってきたんだよ。

だから落としたとなると何気にショックなんですよね……。

あの中には結構な金があるのに……。


「どこにも落ちてねえ……。こりゃもうダメかも」

『アニライトの中探したの?』

「店員に聞いてみたけどないって言われたんだよ」


こりゃ詰んだ。

ステッキは買えたからいいものの、財布を代償にして手に入れるとは……。

なんともついてない。


あれか。俺の財布を生贄に「あろはのステッキ」を召喚!という感じか。


「どこにもねえなあ……」


こりゃ誰かに持ってかれたと考えた方がいいだろう。


……まてよ。そういや、あの少女は何か知らないのか?俺の目の前にいたからその時落としてたとしたら。

あの子がパクってったのか!


くそう……。あの子がやったのか……。


俺あの子に百円あげて…。恩を仇で返されるとはこのことか。

いや、決めつけるのはまだ早い。

あの子に直接会って……。いや、でも名前知らねえし。


「なあ、今からいう特徴の人探してくれない?」

『う、うん』

「茶髪でおっとりとした目の少女。で、黒と白の横縞模様でブラウンのスカートを履いた女の子をさがして」

『あーい』

『わかった』


俺もさがしてみるか。

その子が何か知ってる。……はず。







で。

あの子を訪ねて三千里。そんなに歩いていないけど。

ようやく見つかった。場所はアニライト近くの飲食店。


西園寺さんが見つけてくれたらしく、その場に向かうと朝の女の子の特徴と合致していた。


「はぁ……。あの、君。ちょっといい?」

「はい?……あ、朝の!」

「そう。朝の。君さ、俺の財布知らない?落としたみたいなんだけど」

「あ、これですか?」

「そう、それ……って持ってたのか!」


あった!やっぱこの子持ってた!

あっぶねえ。中身は……あるな。きちんと六万七千百円。丁度ある。

スられてはいないようだ。ちょっと一安心。


「急に走り去ったと思うとポケットから飛び出て、そのまま届けようかなと思って追いかけても気づいてもらえなくて、家に届けようかと思ったんですけど家知らないですし……。で、昼の時間になってご飯食べてからまた考えようと……」

「交番に届けてもよかったんじゃない?」

「あっ!そうでした!」


……もしかしてこの子ドジっ子なの?

やれやれ。まあ、見つかったからよかったけど……。そうか、俺呼び止められたのに気づいてなかったのか。

焦ってたからなあ。焦りは禁物だね。


「と、とにかくお返しします!あ、あと、百円をお返しします!」

「いや、それはあげるよ」

「で、でも!」

「いいから」


百円はあげたつもりだったんだけどな。

そして、遅れて佳がやってきた。息を切らして来店した彼女。


「み、みつ、みつか、見つかったって?」


すごい息を切らしていた。


「あ、な、南条、さん」

「あれ?伊勢崎(いせざき)さんじゃん。何してるの?ここで」

「あ、あの、財布、をと、届けて」

「君が持ってたんだね」

「なに?二人知り合いなの?」


西園寺さんと俺が疑問に思ってたことは同じようだ。

知り合いなのという問いに対して二人は頷いた。


「同じ高校のクラスメイト。伊勢崎…なんていうんだっけ」

「伊勢崎 夏菜子(かなこ)です…」

「ああ、夏菜子ね。覚えたよ」


名前を覚えられてないから察するにカーストの位が違うらしい。

伊勢崎さんは言っちゃなんだけどカーストでいえば下くらいだろう。佳は見た目からして上。


「あ、あの、南条さんの、お知り合い…だったんですか?」

「あ、そうだよー。こっちが従姉妹の西園寺 空で、こっちが私のかれ」

「佳?」

「……空姉ちゃんの彼氏の小鳥遊 久太」

「よろしくね。夏菜子ちゃん」

「よろしく」


それにしても少し臆病じゃないかな。

佳が怖いのか知らないけど……。


「なあ、佳って嫌われてんの?」

「いや?多分嫌われてない、はず」

「自信ないのか……」


まあ、俺がクラスメイトならギャルに関わりに行こうとは思わねえわ。

その見た目じゃない?怖がられてるの。


「あのさ、私のこと嫌いなの?」

「ズバッと行くなあ」

「こういうのはきちんとしないとね。嫌いなら嫌いって言ってもらえたほうが楽だし。で、どうなの?」


……威圧的に感じるのは気のせいですか。そうですか。

で、伊勢崎さんは返答に困ってるようだ。ああ、こういうのイラつく人もいるからなあ。

キョどってるのがイラついて怒る人もいる。多分、佳もそうなんじゃないかな。


「あ、あの、私は別に嫌いでは……」

「そ。ならよかった」

「冷たすぎやしないか?」

「そうかもだけどこれ以上返す言葉なくない?」

「まあ、そうなんだけどよ」


もうちょい言い方というものがあるだろ。


「まあ、私の言い方キツかったかもね。そこはごめん。夏菜子ちゃん」

「い、いえ!わ、私のこの言動がダメなんですし、あ、謝られることじゃ、ない、です」

「さてと。今日は帰ろっか。久太くん、佳」

「うん。そうだね。……あ、そうだ。夏菜子ちゃん。メアド交換しよ?」

「へ?い、いいんですか?」

「いいよ。仲良くしたいし」


……はっ。これが友達の作り方か?

俺も覚えておかないと。えーと、まず俺がクラスメイトに謝って……いや、なんで謝らなきゃならないんだ?俺なにも悪くないと思うから謝らない。で、メアド交換をする。

友達の作り方ってこれか!









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イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
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