表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
223/291

マイナスの人間①

 空を怒らせた失態。

 俺は、会長のところに相談しに行っていた。すると、意外なことに会長の家には臼田先生が来ていた。どうやら知り合いらしく、楽しそうに会話をしていた。


 「ふむ。喧嘩した……というより西園寺が怒ったと……なるほど」

 「仲直りしたいんですがどうしたら……」

 「それは謝るしかないだろう。自分の意志を持って謝ることが大切だ」

 「自分の意志をもって?」

 「ああ。人から言われて謝るのと自分の意志で謝るのは違うからな」


 たしかに、そうだ。

 人に言われて謝るのは心地よくなる気はしない。それは自分の非を認めていないけど、とりあえず謝っておくみたいに感じられるからだろう。

 わかっている。謝ることが必要だってことは。


 「西園寺が怒るのは意外だったのか?」

 「私も小さいころから一緒にいますが怒ったところは見たことがないですね」

 「それはそうだろうな。西園寺はマイナスの人間だ」


 ま、マイナスの人間ってなんだろう。


 「この世にはプラスマイナスが存在する。マイナスは自分の気持ちを押し殺している者を指し、プラスは自分の気持ちを愚直に吐き出している者のことを指す。西園寺は思い切りマイナスにいるんだ。嫌な気持ちも受け止めて、自分の気持ちを言えないでいる。それがマイナスの人間だ」


 なるほど……。空は自分の気持ちを押し殺すのか。

 あの時、空の気持ちはどんなんだったんだろう。たぶん、態度に現したことよりものすごく怒っていたのかもしれない。


 「ただ、人間は怒りという感情が存在する。誰にでもな。マイナスの人間は怒らないというわけではない。マイナスの人間も自分の気持ちを押し殺すことができなくなる時がある。どうしても妥協できない時が存在する。西園寺は妥協できない時が今なんだろう。だから、妥協させるな。西園寺に」


 空を妥協させない。

 そのためにはどうしたらいいのだろう。空の気持ちを受け止める必要がある。俺は空の本音はあまり聞いたことがない。空自身が自分に押しとどめるというのもあるのだろう。

 俺も、俺自身に妥協は許さないで、空に聞いてみよう。


 「……今から空に会いにいってきます」 

 「そうだな。今行くのがいいだろう。行ってこい」

 

 俺は臼田先生の後押しを受け四之宮家の隣にある空の家に向かっていった。






 「ほんと、ためになるこというんですね」

 「私の主観でしかないがな。愛というのは人によって主幹が変わる。自分自身が主人公といわれているがそのようなものだ」

 「というなら私も主人公なのですね」

 「そうだな。誰もが主人公と謳うなら四之宮 佳子も、西園寺 空も、小鳥遊 久太も、私も、だれもが主人公と言えるよ。ただ、物語の面白さは、主人公によって違うがね」

 「臼田先生はつまらない物語ですか?」

 「まさか。つまらないというのも個人の主観だろう。私は私の物語は面白いと思っているよ」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ