遊園地に遊びにきました①
大学は夏休みにはいった。
そして、今俺は空と一緒に遊園地に来ている。
「まずはどれからいこっか!」
パンフレットを片手にどれに乗るかを相談していた。
このジェットコースターもいいな。あと、定番のお化け屋敷、最後には観覧車乗って……。デートであるから以上俺は空との仲を深めないといけない。
「俺はこのジェットコースターかなあ」
「じゃあ、それいこっか!」
俺は空に腕を引かれジェットコースターに並ぶ。
小さい子は並んでおらず、大人たちしか並んでいなかった。小さい子は身長制限で乗れないのだろう。横を見るとベンチにお母さんと一緒に座っている子供もちらほら見える。
俺も空と結婚したらああいう風に育児をするのかなあ。
「いいな、子供」
「子供ってかわいいよね」
「ああ」
男の子はやんちゃだし女の子はわがままだけどね。
そこが可愛いのだ。
「……ねえ、久太くん」
「なんだ? 空」
「そ、その、物は相談なんだけどさ」
「ん?」
空はいいがたそうにこちらを見ている。
少し言いづらい内容なのだろうか。別に俺は受け止める気満々なんだが。
「子供、ほしい?」
「ぶっ!?」
噴き出した。
空が子供欲しいなんて……まさかいかがわしいことでも想像しているのか!?
思わぬ空の発言で少し戸惑ってしまった。
「そ、その、私と結婚したらの話で……」
「あ、ああ。したらの話か。ほしいよそりゃ」
よからぬ妄想抱くとこだった。
「そ、そう」
び、ビビったあ……。
あ、次俺らの番じゃん。
ジェットコースターを堪能した。
そりゃもう、怖かった。
一回転して、逆さになって、直角に近い角度を上がって下がる。空はきゃーとか叫んで楽しんでいたようだけど俺はもう恐怖のほうが強すぎて……。
少しダウンしていた。
「大丈夫?」
「無理……」
あんな怖いものだと思いもしなかった。
なんだよあの直角! 人生の中で直角を始めて恨んだわ! 直角なんて嫌いだよ本当に!
「なんか飲み物買ってくるよ。久太くんはそこで寝てて」
「ごめん……」
なんだか申し訳ない。この程度でダウンするとは。俺はまだ脆弱だったようだ。
頭ふらふらする……。まだ未だに恐怖心が抜けていない。ジェットコースターはなめてかかると痛い目に合うと痛感した……。
ああ、辛い。
「おにーちゃんなんでベンチ占領してるの? みんなのものだから占領するのはいけないんだよ!」
俺が寝込んでいると小さい男の子に注意された。
その男の子は少し怒っているようで。こちらをじっと見つめていた。
「お兄ちゃん体調悪くてさ……」
「嘘つき。占領したいからって体調悪いって嘘つくのは良くないよ」
おおう。信用してくれない。
しょうがない。面倒になる前に体を起こそう。
「体起こしたよ。これでいいかな」
「それでよし」
男の子は満足そうに笑った。
すると、隣から注意が入る。
「圭太。久太は体調が悪いんだよ」
この声は……。
「ええ、でもこいつ満足そうな顔してたぜ」
してたのか?
「でも今体調悪そうにしてるじゃん。寝かせておいてあげなよ」
「……わかったよ。ごめんなさい」
「いいよ」
俺は寝転がる。
寝転がって那智ちゃんの顔を見た。那智ちゃんは俺を見て笑顔を作る。俺の目の前に立ち、かがんで目線を合わせてきた。
「今度は私が付き添う番」
と、俺の前の地べたに座った。
入院してた時は俺が付き添う形だったから今度は付き添ってくれるのか。嬉しいな。




