夏休みまでもう少し!
大学の講義が終わり俺は家に帰る。
夏休みまでもう少しとなった今、大学内は夏休みを満喫しようと話が多い。海行ってナンパしたいだとかそういう感じのつぶやきが聞こえてきた。
海か。おととし行ったなあ。
「久太くん!」
「おう。空」
空が元気よく俺に近づいてくる。
俺はとびかかってきた空を受け止めた。
「ねえ、夏休み暇ある?」
「暇? あるけど」
俺の夏休みはこれといって予定はない。あるとしたらバイトぐらいなんだけど。
君清さんの会社でのバイトだし空が言えば休むことはできると思う。
「よかった。久太くんを誘いたかったからさ」
「誘いたかった?」
「うん。遊園地、一緒に行かない?」
遊園地……か。
聞くところによれば新しく札幌市郊外に遊園地が建てられたらしい。まあ、それは廃園となった遊園地を復興させただけらしいが。
その開園祝いに招待されたとのこと。なにせ園長が西園寺家にお世話になった方らしい。出資がしたのが西園寺家らしいからだ。
「私も行くんだけど知らない人だらけだし、小さい子供も多いらしいんだよね」
「従業員の家族とかか?」
「そう。だから同年代がいなくてね。私一人で行きたくないし、何より久太くんと楽しみたいからさ!」
「ようするに遊園地デートか」
「そう! デート!」
遊園地デートか。
空とジェットコースター乗ったりお化け屋敷で抱きつかれたりするのだろうか。空の事だろうからお化けは怖くないと思うけど……。
でも、悪くない。
「いいな、それ」
「でしょ? 私も今から楽しみにしてるよ!」
「ああ、楽しみだな」
待ち遠しい。遊園地デートか。
早く夏休みにならないかな! 大学の夏休みを十二分に堪能してやるぞ! 遊園地デートから海までイベントをこなしていきたい! 空と仲を深めて……。
……ビキニ姿の空、か。うん。悪くない。悪くないぞ。空はスタイルもいいからビキニとか似合うんだろうな……。
って、邪なこと考えすぎだ俺!
「夏休みまでもう少しだし、早く来るといいね」
「おーい久太くーん」
目の前にはビキニ姿の空が俺に向けて手を振っている。
俺は空のところに向かっていった。空は笑顔でこちらを呼んでくる。
「なんだ? 空」
「久太くんに頼みごとがあって」
「頼みごと?」
頼み事って何だろう。
「その、日焼け止め、背中に塗ってくれない?」
「……俺が、空に塗るの?」
「うん。塗り忘れちゃって」
……はっ、いけない。ちょっと妄想が。
空は俺に日焼け止めを渡すとうつぶせになってビキニの紐をほどいた。
やばい。よからぬ背徳感が生まれている。だけど、これは空からの頼み事なんだ。つまり、やらなきゃいけないこと。頼み事は断らないのが俺の主義だ。
し、仕方ないなあ。どうしてもというから日焼け止めを――
「……はあっ!?」
目が覚めた。塗ろうと日焼け止めを手に付けた瞬間に目が覚めた。
神様のばかやろう! いいとこできりやがって!!




