ラノベ主人公②
隆と恭一郎は緊張しながらソファに座った。
リビングでは禊さんたちは仲良く勉強をしている。
「……」
「……」
女子は五人、男子は四人。
小鳥遊家は人が多くなったなー。というか、9人もいたら狭く感じるわ。
「ククク……。妾がこの程度の敵を倒せぬとでも思ってるのか!」
「倒せてない。答えまちがってる」
「ぐうううう! 見た目とは裏腹になんと手ごわい敵なのか!」
「それ中学一年の範囲なんだけど……」
ソファの後ろでは女子が仲良く勉強している話声が聞こえる。
俺も混じってもいいのだが、この非モテ集団は動こうとはしない。ただ、ゲームしているだけだった。
「4番に逃げた」
「追うっすよ!」
「拙者の大剣からは逃さないでござる!」
俺らは協力プレイしていた。
女子の中には混ざりづらいしな。男子は男子だけで仲良くしていればいい。たまにはいいかもな。俺って男子の友達いないし。
「あいつ10番に寝にいった。寝起きドッキリでもするか」
「タル爆弾ならもってるでござる」
「よし、大タル爆弾をありったけしかけろ。マタタビ爆弾で点火する」
「よしきた」
大タルを仕掛けて仕掛けて仕掛ける。
そして、恭一郎がマタタビ爆弾をおいた。
「あ、光。その位置は爆発が……」
ドーン!
「力尽きた!」
「敵も死んだ」
「ああああ! 剥ぎ取りにいけないっすうううううう!」
「うるさい」
「「「はい」」」
光の叫びに怒ったのか禊さんが注意してくる。
勉強してるときに騒ぎすぎたな。
俺らはいそいそと素材をはぎ取った。
勉強もひと段階終えたらしく、俺は全員分の飲み物を用意する。
梵さんはトマトジュース。禊さんと村上さんはコーヒー。吉祥さんはカフェオレで空と隆たちはオレンジジュースとのことだ。
トマトジュースは瑞穂がよく飲んでるし、ストックも少しはあるからいいかな。あ、最後の一本だこれ。瑞穂にどやされるかもしれないけどあげちゃおう。
コーヒーとカフェオレはまあ、粉あるしな。シュガーとガムシロあったっけ。
「こっちは小波くんで、こっちは新田くん、そしてこっちが桶川くんだよ」
「よろしくでござる~」
「よろしくな」
「よろっす」
隆たちの紹介も終えたようだ。
俺はお盆に乗せて飲み物を運ぶ。
足に何かが引っかかって、俺は、目の前にこけてしまった。お盆の上にのっかっていたコーヒーたちは俺にすべて降り注ぐ。
……。お恥ずかしい。
「だ、大丈夫?」
「汝。治癒魔法が必要ならいいたまえ」
みんなの視線が痛い。
「と、とりあえず拭かなきゃ! 久太くん、雑巾ってどこにあるの?」
「台所の一番下の引き出しにある……」
頭からコーヒーとオレンジジュースをかぶった。トマトジュースだけは缶だったので無事だったが、他は大惨事である。
「後始末は任せた……。俺、風呂入ってくる」
コーヒー臭いです、俺。




