家族が辛辣すぎて…
俺の名前は小鳥遊 久太。
学校の非モテ集団筆頭にしてモテない男子の味方。今までモテたことはない、童貞未卒業、女子との会話経験はなきに等しい。
だが、今日有名な美少女に告白されてしまったのさははっ。羨ましいだろう?俺が憎たらしいだろう?だが、これで晴れて俺も非モテではなく、リア充の道に!
「……ボサボサ髪直してメガネ取ったらこんなかわんだキュータ…」
「はっはっはっ。顔はイケてたんだな」
「今まで容姿に無頓着すぎ。ボサボサ髪とでかい黒縁メガネのせいでモテなかったんだよ。久太くんは!」
そう。俺はイケメンになったのだ!
今まで容姿なんてどうでもいい存在だったが今日から違う!新生小鳥遊 久太の誕生だ!
だけど、この容姿に問題が一つある。
「見えねえ」
視力悪いからメガネなしじゃ見えないということ。
今ね、西園寺さんとか関係なく全員ボヤけてる。
「……これは?」
「に」
「残念。さん」
「マジで見えてねえな。とりあえずメガネ返そうぜ」
「う、うん」
メガネ装着!
ああ、美少女が見える。この子に告白されたんだよな。うん。うらやまけしからん。
「改めて、よろしくね。久太くん」
「お、おおお、おおう!」
ごめん。どもった。
家に帰る。
家では一人暮らし…ではなく、実家に普通に暮らしていた。
「ただいまー」
「おかえりにいさ…え?」
「えってなんだよ。えって。お兄ちゃんそんな反応だと悲しむぞ」
「……兄さん、なの?」
「そうだけど?」
少し間が置かれた。
そして
「お母さんお母さん大変!兄さんが整形手術してきた!」
「ほんと!?どこからその金手に入れたの!」
とまくしたてた。
してねえよ!これが俺の素顔だよ!悪いかこのやろー!
妹がまくしたて、母も騒ぎ立てる。
そして、母親がビンタしてきた。
「なんでビンタ!?」
「あんたが整形手術してくるから……!私とお父さんからもらった顔に手を加えるなんて……!」
「してねえよ!整形なんてしてねえ!ただのイメチェン!なんで整形手術したと思われてんだよ!なんも手を加えてねえよ!」
ギャーギャー騒ぐ妹と母親。
いや、すごくうるさい。そんなにイケメンになって悪いのかよ!
「嘘よ!久太がそんなイケメンなわけないわ!久太は女子にモテなさそうなメガネ野郎だったもの!」
「息子に対してひどい!たしかに反論はできないけど!」
この母親と妹案外辛辣だろ!
そんな母さんと妹に説明するのに十分かかった。
「ってことで俺の彼女にやって…ってどうした?」
「兄さんが……彼女?ないないないない」
「そうね。ないわ。こんな息子選ぶなんてどうにかしてるわね」
「なんで否定されなきゃいけねえんだよ!」
おかしい。家族の俺に対する評価が案外辛辣。辛辣すぎて泣きそうです。
「兄さんの彼女なんて!一目見てみたいよ!絶対ブサイクだって!可愛かったら兄さんと風呂入ってあげるよ」
「言ったな?もっかい。録音してやるから」
「可愛かったら兄さんと風呂入ってあげるよ!これでいい?」
「おーけー。見てろよお前ら」
明日連れてきてやる。そして妹と風呂入ってやるよこんちくしょう。