大学の友達関係②
学食にきたのはいいものの。
俺の周りに女子がいすぎない? 今日知り合った吉祥さん、村上さんに梵さん、禊さん、久我山さん、空と六人の女子がいる。
あのー、女子の比率おかしいだろ。女子大に潜入しに来た男子みたいになってるぞ。
「あそこハーレムじゃねえか」
「みてみろよ。一人の男を取り囲むようにして女子が座っている」
「イケメン爆ぜろ! ミンチになって動物の餌となれ! そして俺たちの糧となれ!」
怖い。周りの男子怖い。
「ところでえ、小鳥遊くんと西園寺さーん。お二人付き合ってるらしいけどどこまでいったの? キスはした? あ、もしかしてもう一線を越えた? やだあ、そこらへんをオブラートに包んでいいから詳しく」
吉祥さんは恋バナみたいな風に話しかけてきて、
「ククク……。妾にはわかる。この食べ物は魔力を蓄えている上質なもの。いますぐ作ったものを」
「遊んでないで早く食べなさい梵」
「あーんしているところを撮影したい。でゅふふ。西園寺、あーんしてやってくれ」
「ええ!?」
周りがうるさい。
梵さんはなかなか料理に手を付けないし、禊さんはその困った妹を注意して、久我山さんは空に難題を押し付け、空は困惑していた。
唯一静かなのは村上さんくらいである。
「…………」
村上さんはだまってきつねそばを啜っている。
これだよ。村上さんみたくしないと。モノを食べるときは誰にも邪魔されず救われてなきゃダメなんだよ。村上さんを見習え空以外の女子!
「……うるさい」
ぽつりとそうこぼしていた。どうやらうるさくてうんざりしているようですね。
「少しは静かに食えよ……。食事の時はさ」
俺は村上さんの気持ちを代弁するように注意をした。
騒がしい昼食タイムを終えて、俺らはベンチに座る。
晴れの日くらいは外にいたいものだ。春風が気持ちいいしな。夏はさすがにクーラー効いてる講堂とかのほうがいいけどね。
「かあー! シュークリームおいしー!」
「美央ちゃん。口にクリームついてるよ」
「あ、おう。ありがと」
……なんか、仲いいな。
「ねえねえ、なんで俺昼食に誘わなかったの? 俺だけ仲間外れってひどくない?」
「ひどくない」
「汝には情などかける必要もあらぬ」
偶然出会った結城に嫌々しく対応している黒沢姉妹。本当に嫌そうだ。結城のことはあまり知らないんだけどさ。
「あそこにいいカップル発見! いますぐ急行であります!」
そして、久我山さんはカップルの写真を撮ることに精いっぱいだった。
「……なんか、久太くん女子の友達多くない?」
「俺もそう思ってる」
「交友関係を広げるのはいいんだけど……。その、好きにならないでね?」
「わかってる。俺は空以外は好きにならないよ」
俺は彼女を裏切るような真似はしたくない。泣かせたくも傷つけたくもない。だから、俺は好きにはならない。
たとえ、空以上に可愛い子が俺に迫ってきたとしても、俺は絶対につられたりはしない。俺は、空が好きだ。優しいところとか、几帳面なところとか、真面目なところとか。俺が空以外を好きになることがあるか。
「よかった……。私も久太くん以外は好きにならないから。久太くんよりかっこいい人がいても……。久太くんが好き」
「……俺も、だよ」
空は照れて、下をむいた。
俺も照れて視線を逸らす。すると、黒沢さんたちの視線がこちらに向いていた。
「ひゅー! お熱いねえ!」
「初心な彼女と初心な彼氏の初心カップル……。ぐふふ。いい」
「な、なな……!」
「おや? 自分にはそういうこと言う彼氏がいないから悔しがってるのかな? なら俺が彼ぐほあ!?」
「ごみの行く末をその身に教えてやろう結城よ。覚悟するがよい」
……衆人環視にさらされていることを忘れていました。恥ずかしい。
ハーレム製造機なのかよ……。




