大学生活始まりました③
ご飯を食べ終わり、休憩時間もまだある。
俺らは大学内を歩いていた。まあ、場所とかを覚えるのもあるし、あと、でかい敷地を歩き回りたいというのもある。
「法学部はどうだ空」
「うーん。思ってたよりは簡単、かも?」
空がハイスペックだから簡単に感じるのかもしれないな。
「ククク……。奇縁もあるものよ。妾の姉も法学部に存在せり」
と、そういっていると。
「おーっす! 梵ちゃん元気~?」
「梵。迷惑かけてないだろうね」
と、二人の男女の姿が見えると、黒沢さんは嫌な顔をしていた。
「なぜ汝がここにいる! 近寄るな愚物が!」
「そんなこというなよ。幼馴染だろ俺ら」
「汝に妾の誓いの友を語られたくなどない! 消え失せろ!」
黒沢さんは男の人を罵倒し始めた。その片方の女の子はこめかみを押えてため息をはいている。
「梵。落ち着きな。おまえの後ろにいる人がひいてるだろう」
「……?」
黒沢さんを注意している女子は黒沢さんに似ていた。
すると、俺が凝視しているのがわかったのか、苦笑いを浮かべ、肩をすくめる。
「ごめんなさいね。梵は昔からこの変態のことを敵視しているの」
「変態って、そういう紹介されたらさすがの俺でも傷つくんだけど」
「違うの?」
「……違くないです」
あ、認めるんだ。
「あ、そうそう。私はこの梵の姉の黒沢 禊。梵と同じ一年生です」
「……双子?」
「そう。似てるでしょ」
顔は似てるけど中身は全然違うな……。
「似てるね……。どっちがどっちだか顔じゃ見分けつかなさそう」
「そうだね。私たちは一卵性双生児だからね」
「そうそう。ついでにいうとスリーサイズも一緒だから……ぎゃふんっ!」
その男は黒沢……。梵さんと禊さんに殴られていた。
「この変態は結城 泰斗」
「どうも、結城 泰斗です……」
結城はその場にぶっ倒れていた。
倒れている結城を放っておいて俺ら四人はベンチに座る。
「え、二人とも付き合ってるんだ」
「うん。そうだよ。高校二年生の時から付き合ってるんだ」
「へえ。結構長く続いてるんだ。冷めたりとかはしないんだね」
「うん。冷めることはないかな。というか、何回か別れたこともあるけど……」
ああ、たしかにあるな。
「結構冷めてるじゃん」
「いや、横取りされてるの」
「……マジで?」
「うん。一回、二回、三回ぐらいかな」
そのうちの二回が本宮なんだがね。
「……高校時代何があったんだ」
いろいろとあったんだよ。主に本宮というやつのせいで。
もう、一年たつくらいだろうか。本宮と最後に対峙したのは。一年前のことを鮮明に覚えているということは本当に厄介な証だ。
「ククク……。汝も波瀾万丈な人生を歩んでいるな。神に嫌われているのやもしれんな」
「……梵のいうことは大半は無視していいから」
「人間の分際で無視できると思うな! 妾は魅力という力を使って汝をこちらに注目させることもできるのだ」
「……手のかかる妹で、ほんとごめん」
禊さんはあたまを下げた。




