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三潟の理由③

 あれから、婚約披露式典はある家の断罪式と化した。

 実の娘に不正をしていると告げられ、そのあと告発され捕まったそうだ。そして、君清さんはちゃっかり不利益を被ったからと言って膨大な慰謝料を請求したらしい。


 そして、今は俺と空と堂島さんと三潟と一緒にレストランに来ていた。

 個室を貸し切り、そこで話し合うことに決めた。


 「単刀直入に聞くが、お前は断罪されることを望んでいた。そうだろう?」


 俺は、そう切り出した。

 そこまでは予想がついている。俺も、手を握って分かったことだ。


 「はい」


 三潟は否定しなかった。はいと、肯定の意志だけ示す。


 「じゃ、じゃあ久太くんを私から奪ったのも……?」

 「はい。それは西園寺家の反感を買いたかったからわざと独断でそうさせてもらったのです」


 ということだった。


 「なぜ、そういうことをする必要があった。反感を買わなくともいずれは断罪されていただろう。遅いか早いかの違いだけで」

 「なるべく早く、断罪してもらいたかったのです。父の不正をとめるために」


 三潟は不正を止めるためといった。

 だけれど、まだ疑問はある。なぜ、三潟は堂島家と西園寺家の業務提携を止めに来たのかだ。それだけがわからない。


 「断罪してもらいたかったのなら、なぜ業務提携を止めようとさせた。断罪してもらいたかったら止めようとはしないだろう」

 「あの時は私も不正を知りませんでしたから。そして、自分の愚かさに気が付いていない時でしたし」

 「言い訳がましいね。それは本当?」

 「信じてもらわなくても大丈夫です」

 

 信じてもらわなくても大丈夫というから多分信用は出来る。

 業務提携をしたのが九月の初旬。そして、婚約させられたのが十月。この一か月のうちに三潟を改心させるような出来事が起こったのだろう。

 たとえば……誰かに叱られて目が覚めたとか。


 「……ただ、西園寺様。私は貴女にお願いしたいことがあります」

 「……なに?」

 「私にも厳しい罰を与えください。君清様でなく、空様にお願いしたいのです」


 厳しい罰をくれといえる時点で、きっちり反省はしている。

 そして、なにより土下座までして自分にも罪をと言える時点で根は誠実なのだろうな。今までの第一印象とは違ったように思う。


 「私は空様を傷つけるようなことをしました。なので、私に厳しい罰を……。情けなどいりません。ただ働きもする所存でございます」

 「ええ!?」

 「どうか……自分を戒められるような罰をください。私がつけあがらないよう、厳しい罰を与えください。お願いします」


 地面に頭をこすりつけ、そう懇願していた。

 多分、厳しい罰でなければ納得しないと思う。優しい罰だと、本人は納得しない。だから、罰を望むのだ。反省し、自分を変えたいと思っているからやれるのだろう。

 三潟は強い。前の三潟は弱かったけれど、今は強くなっている。なにがあったんだろうな……。


 「……罰といってもなあ」


 空は頭をかいていた。


 「……罰ならあれだ。庶民として独り暮らしさせてみせればいい。庶民を馬鹿にしてきたし、金銭感覚もないだろうから」

 「それはダメです! 甘すぎます!」


 と、甘すぎると三潟から注意を受けた。


 ……罰かあ。空は優しいからそういうような罰って思いつかないだろ。絶対。









エピローグいって大学生編はいるかもう一つはさんでいれるのかはまだ未定です。

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イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
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