図書館での不幸②
俺はコンタクトレンズを使用している。もともとはメガネだったが空がコンタクトのほうがいいとのことで乗り換えたのだが。
今ここでコンタクトを落として割った。おかげで、視力が……。
トイレ行きたいのにっ! 裸眼だと10センチ先もぼやけるほど悪いのに。どうやって視力が安定しない今トイレまで歩いて行けと。
ここからトイレまで距離があるし……。予備のメガネも家だし……。詰んだ。
「と、とりあえず立ち上がろう」
椅子を杖替わりとして立ち上がる。俺はそのまま椅子に座った。
教科書もぼやけて、表紙の文字すら読めない。ものすごく近づけたら見れる程度だ。
トイレしたい。空達が戻ってきたら連れて行ってもらおうかな……。でも流石に男子トイレにまで入れさせることはできないから救援を呼んでもらおう。
「お待たせー。って久太くんどうしたの?」
「股間を押えてどうした? トイレしたいのならいってくればいいではないか」
「その声は会長と空? ちょうどよかった。空。今から隆に電話してくれ」
「?? どうしたの?」
「トイレ行こうとして立ち上がったら転んでね。コンタクト割った……。今何も見えないです」
空もシルエット姿みたいにしか見えない。
「っと、早く呼んで……。限界を迎えそう……」
その前に尿意がすごい。ものすごくトイレがしたい。我慢しろ俺。俺ならできるはずだ。隆が来るまでの時間を耐えきり、尚且つトイレをするという任務をこなせるはず!
「……久太くん。小波くんは今旭川にいるって……」
「なあっ!?」
そうか! 昨日旭川に行くって言っていた! 両親と一緒に行くとそういっていた気がする。なんてことだ。ここから一番近いのが隆の家だし、恭一郎と光はちょっと遠いからなあ。
どうしよう俺。このままゲームオーバーを迎えるのか。お漏らしゲームオーバーなんて俺は嫌だぞ!
「……私が連れて行ってやろうか? 少々恥ずかしいが背に腹は代えられないだろう」
「か、会長に見られるのは……。なら瑞穂のほうがいいです」
「そうか。まあ、私も女だしな。羞恥の感情もあるのは事実だ。それに男のアレは私も見るのに相当覚悟がいるだろうし……。というか瑞穂とは誰だ? 聞く限り女性の名前だが」
「妹ですよ……。っと、漏れるぅ!」
やばい! 膀胱が破裂しそうな勢いだ!
「どうにか手は……司書さんは今日に限って女性だし、周囲見渡しても女性しかいないぞ! 男はいたとしても小さい男児だ」
「ど、どうするの!? こ、このまま漏らすというわけにはいかないからとりあえずトイレの前まで連れてこう!」
「そ、そうだな。とりあえずトイレの前までは連れて行くぞ!」
俺は二人に担がれてトイレの前まで移動した。
トイレの前まで連れられてきたはいいものの。
問題は中に入ることだ。空と会長は女性。中に入るのは気が引けるだろうし、変態扱いは免れない。多目的トイレという手もあるが、会長たちに俺のアレを見せるわけにはいかない。
トイレ一つで人生詰むなんて嫌だ……。
「とりあえず私は男性を捜索してくる! 空は小鳥遊を頼んだぞ!」
と会長の足音が遠くなっていく。
俺は空に担がれながら、ひっしに股間に力を込めていた。
数分後、会長が近くにいたという宇賀を連れてきて俺は事なきを得た。
宇賀は俺の救世主となった。
空か会長が電話して呼べばよかったんじゃ……。
そして、高校編最後まで執筆を終えて、予約投稿にしています。はあ。疲れた。
大学生編も今書いております。大学生編は9日からスタートします。
逆算していくと高校生編があと何話かわかるはず。




