京都で過ごす夏休み②
西園寺さんの母の実家はそれはそれはデカイ。
その居間で、俺はというと佳ちゃんの隣に座らされたのだった。
小さい子は西園寺さんと一緒に遊んでいる。結構人数が多いなあ。西園寺家。
「ふぅん?空姉ちゃんとはいつ付き合い始めたのかな〜?」
「一学期終わる直前」
「どっちから告白したの?」
「それは西園寺さん」
俺からは告白しねえよ。そんな勇気もねえし、そのころはまだイケメンじゃなかったし。
「ふぅん。空姉ちゃんいい人選んだっぽいねー」
「俺をいい人ってそんな簡単に判断するなよ」
「いやいや、いい人じゃん。ほら、私に見向きもしてないし。私も空姉ちゃんには劣るけど可愛いほうなんだよ?」
「ああ、そんなことか」
「むう。そんなことってなんだよー。うりうりー」
金髪のギャルっぽい子は俺の頬を指でつついてくる。
少々うざいです。
「……ふん」
で、男の子には威嚇されてるし。
「なあ、あいつなんなの?なんで威嚇してんの?」
俺は佳ちゃんと呼ばれる金髪ギャルに聞いてみた。名前は知らん。
「あー、あれは空姉ちゃんを取られたからでしょ。あいつ、空姉ちゃんのことがす…」
「うっさい」
「いっで!」
男の子はこちらに近づいてきて金髪ギャルに拳骨をかました。
金髪ギャルは頭を抑える。
「……ふん」
こちらを一瞥して来たかと思うとまた睨んできたのだった。
なんだよあいつ。感じ悪っ。好きな子取られただけで嫉妬するのかよ。
「やーねー、あいつ感じ悪いねー」
「ほんとねー」
「少し黙れ」
殺気を放って睨んでくる。
俺とギャルはそれ以上何も言えなくなった。
「……ねえ、名前は?」
「小鳥遊、久太」
「私は南条 佳だよ。よろしく。久太っち」
「で、あの怖い人の名前は?」
「ああ、あの人は東城 大輝だよ」
ふぅん。東城、ねえ。
俺とギャルは結構仲良くなった気がする。
だけど依然東城との距離は縮まらない。というか、会っただけで睨まれます。
「おお、ここが京アニ本社か!」
目の前にそびえ立つ会社は京都ア◯メーションの本社だ。俺はパシャリと携帯のカメラで写真を撮る。
「なになにー?アニメ好きなの?」
「友人が好きなんだよ。とりあえず友人に送る」
まあ俺も好きなんですよ。
ここがけ◯おんとか響け!ユー◯ォニアムとか、中二病でも◯がしたい!とか制作してる会社なんだなと思うとね。
「でも自分も好きだよねー?何度も撮ってるしー」
「久太くん撮ってあげようか?」
「お、西園寺さん頼んだ」
西園寺さんに携帯を預ける。
「はい、チーズ」
「ちょっと待って」
俺は予め持ってきた眼帯を装着する。
ふっふっふっ。ここでは俺は中二病に侵食されるのだ!
「よし、いいぞ」
そして、シャッターが切られた。
俺は眼帯を外し携帯を受け取った。そこには眼帯を抑えた俺の写真が。
お、俺の封印されし右目が……あ、眼帯してるの左目だったわ。
「ねー、空姉ちゃん」
「なに?」
「久太とツーショット撮る?」
「あ!いいね!撮る!撮影お願い!」
「おっけー。じゃ、並んでー」
西園寺さんが俺の隣に。
俺の腕に抱きついてくる。ちょ、胸当たってますって。それ絶対わさとですよね?「あててんのよ」って心の中で笑ってますよね?
「暑いねー。夏だから余計に暑いねー。じゃ、撮るよー。はーいチーズー」
カメラの音が鳴る。
西園寺さんは携帯を受け取って写真を見ていた。
「ってこれ佳の自撮りじゃん!撮り直し!」
「はは、バレたか!」
とこちらを向いてくる。
目線で「もう一回遊べるドン」という感じの目をしていた。もう一回遊べるってなんだよ。と思いまた腕を組む。
……ああ、そういうこと。
西園寺さんの胸の感触もう一回味わえるってことね……。粋な計らいしやがって。
「次はちゃんと撮ってね!」
「わかってるって。はーい。じゃ、撮るよー。チーズ」
カメラの音がまた響いた。
「南条」
「佳でいいよ」
「佳」
「なに?」
「ありがとうございます」
「ふふ。どういたしまして」
まったく……リア充は◯ね
あ、また次回お風呂があります




