これ以上俺の理性は……
一つ聞きたいんだが、もし自分の家に招待した記憶がない人がいたらどうする?
俺がなぜそう聞くか。答えは目の前の奴だ。
「よう」
「……なんでいんの?」
ソファでくつろいでいる様子の飛騨が、俺に手を挙げてきた。
正直言うとなんでいるのかわからないし、というか、隣に空もいるし、非モテ集団みんないるし、あとヴァレンタインと宮古さんと堂島さんも。なんか知らないけどたくさんいるし! なんなんだおい!
「なんでとは言い草だな。俺は決意してきたのによ」
「決意?」
「ああ。俺は明日から学校行くことにした」
そりゃまたすごい決意を……。じゃなくてだな。
「その前になんで俺んちいるの……」
「俺が誘った」
「お前か!」
犯人は恭一郎だった。というか、お前らとも遊ぶ約束してないからね? 何勝手に上がり込んできちゃってんの?
だけど、まあ、来てしまったものは仕方ないもので。
「はぁ。お茶とお菓子は戸棚に入ってるからそれ食べて……。俺は着替えてくるから」
階段を上り、制服を脱ぐ。
戸棚の中にお菓子が入ってるけどなんのお菓子だったかな……。俺が勝ってきたお菓子すら忘れてる。なんか、心配なんだが……。まあ、早めに着替えて早めに降りよう。
俺はタンスからズボンを引っ張り出し、はく。
そして、急いで下に降りると今度はなんだか、静かになっていたというか、なにやら、笑っているようだった。
ふむ? こいつらがこんなに静かになるってどういうことだろう。俺は、クッションを敷いて床に座る。
テレビをつけて、流れている刑事ドラマを眺めていると。
「きゅ~た~くんっ」
「空? なんだ?」
「えいっ! ぱふぱふっ!」
と、空はいきなり自分の胸を俺の後頭部に乗せて抱きついてきた。
な、なにしてんだ!? 空のキャラじゃないだろ! なんだよぱふぱふって。ドラ〇エか!
「な、なにしてんだよ!」
「きゅ~たくんは私のお胸は嫌い……?」
「……答えるのに困る質問はやめろ」
どちらに答えても悪い道しかねえよ! いいって答えたら俺変態みたいじゃんか。俺は変態じゃなくて紳士であり、真面目なのです。
「きゅ~たくんが望むなら……触ってもいいよ?」
「遠慮しておきます」
「なんでっ!? 自分でいうけど私これでもスタイルはいいほうだと思ってるんだよっ!?」
スタイルがいいからだよ! そんな胸触れるわけねえよ。もともとヘタレの俺が、女子のおっぱい触ることなんてできねえ。紳士はそういうことしない。
落ち着け。空のキャラが変わったのには何か理由がある……。
お菓子か? そういや俺の買ってきたお菓子って思い出せなかったんだが。
もしかしてなんだが。こういう時に限って俺あれ買ってきてたの?
「空。お前、チョコレート食べた?」
「ちょこれーと? うん。食べたよ~。甘くておいしかったぁ」
おう。推理は繋がった。これはあれだ。俺の買ってきたお菓子か。
俺、アルコール入りのチョコ買ってきていたんだ。それ食べて酔ったとしか考えられない。というか、酒に弱すぎると思うんだが。
まあ、それはいいとして。
「隆、恭一郎、光。ちょっと空を……」
「な、なにするでござるカ! タカシ、それをワタシに見せないデ!」
「光が寝ちゃった……」
「悪ぃな小鳥遊。恭一郎は夢に旅立った」
お前ら三人とも潰れてるんかい! というか、隆は何してんの? 何見せようとしてるの! だめだよ? もしかして……。
「ワタシに見せると買いたくなってしまいマス! 責任取ってくださいネ!」
「見てみてー。ミミカルあろはの魔法ステッキー」
ああ、違ったわ。
「大丈夫ですか?」
「あ、まだ一人生きてた……」
「全く……。この程度のアルコールに酔うんじゃ話になりませんね」
「そうだな。酒に弱いから将来酒は飲ませないよう……」
「酒を飲ますのは避けましょう。ふふ」
「あ、あの?」
「ウイスキーだいすきー。だけれどしょうちゅう飲んじゃいけませんね。あ、でも梅酒はうめーしゅけど……」
あ、堂島さんもだめだこれ。まともなやついねえじゃん!
「きゅ~たく~ん。私の胸重いから一緒に持って……?」
やばい。やばいやばいやばい。空が俺の目の前に胸を持ち上げている。空は酔うとビッチみたくなるのかよ! 顔が火照ってるし早く水を飲ませよう! 酔いを冷めさせよう。
これ以上すると俺の理性が耐えきれねえよ!
結局、水を恭一郎たちにぶっかけて酔いをさまさせた。
たまにこういう暴走したのを書きたい
あと少ししたら酒飲める歳になるんですが自分は酒飲まないようにしようかなと考えております。お酒はダメなんでオレンジジュースで我慢します。




