表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/291

不登校を説得に行こう①

 「一つ、頼みたいことがある」


 朝一番に頭を下げてきた恭一郎。何やら深刻そうな顔で俺に頼みごとをしてきていた。何があったのかは知らないが重大なことなのだろうか。


 「どうしたんだよ」

 

 俺が訪ねると頭をあげた。


 「実は、ある一人の不登校を矯正したい」

 「不登校?」


 不登校と聞いた。なぜ恭一郎が俺に頼むかも疑問だが、なんで恭一郎が不登校のことを気にかけているんだろうか。

 ふつうはセラピーの方とかに頼むんじゃないだろうかとも思うし、相談するのも先生方やセラピーの方だと思うんだが。


 「先生には相談したくない。俺の大事な親友だったやつなんだ。俺の手でやってやりたいんだ」

 「とはいっても、俺も力になれないと思うけどな。特に不登校児なんて」


 不登校というのは大体のケースが面倒だとかそういう理由だ。もちろんそちらも学校に来いと説得するのは困難を極めるが、まだ、もう一つケースがある。それは嫌なことがあってだ。

 いじめられて、周りが怖くて、裏切られてとか様々な要因がある。そちらを解決するにはその要因となった人物や物を排除しなければならない。また、不登校児事態にも心のケアをしなければならないからそっちは本当にきついぞ。


 「ダメか?」

 「難しいぞ」

 「そうか……。じゃ、俺だけでも説得してみるよ」


 といって恭一郎は残念そうに廊下を歩いていった。

 恭一郎の友達が不登校というのは恭一郎にとっても面白くない話だろうに。だから、俺もそういうのは面白くない。


 「待てよ恭一郎。俺は難しいと言ったけれどやらないとは言ってないぞ」

 「……やってくれるのか?」

 「やるよ。任せとけ」


 任せとけと大口をたたいたから、きちんと責務は果たさないとな。








 放課後。俺は恭一郎と一緒にその不登校児の家にきた。

 インターホンを鳴らすと、女性が出てくる。


 「恭一郎くん。こんにちは」

 「こんちはおばさん」

 「今日はどうしたの?」

 「いや、秀太の説得に来たんす」

 「……あの子、もう、無駄だと思うわよ」


 女性が諦めたような目で二階の部屋を見上げていた。


 「……あら、そちらの方は?」

 「あ、こっちは俺の友達の小鳥遊っす」

 「ど、どうも」


 軽く会釈をする。


 「まあ、中に入っていきなさいな。大したおもてなしは出来ないけどあの子は恭一郎君なら降りてくるから……。読んでくるわね」


 といって、俺と恭一郎の二人はソファに座らされたまま放置されていた。

 いたって普通の住宅で、結構綺麗だった。埃が一つも発見できないような綺麗さを誇っており、なんだか物に触れるのにも気が引ける。

 だからずっとなにも触らず、無心でずっと座っていた。


 すると、ドアが開かれる。

 ドアが開いた先には、ぼさぼさ髪の男の人が死んだ魚のような目でこちらを見ていた。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ