八月一日②
家事を一通り終えて、私はソファに座った。
テレビをつけてつまらない昼の番組を見ることにする。
「……こうしてみると、夫婦みたいっすね」
光が何気なくつぶやいた一言。
私たちが夫婦みたいって……わ、私のこと思ってくれてるんだ。もういっそこのままここで告ってしまおうかと考えているけれど無理そうだ。
もし、振られたらと思うと足がすくむ。怖い。振られるのが怖い。
「……春」
光は私のほうを向いた。真剣なまなざしで私を見てくる。それがちょっと怖くて「ひっ」という声を出してしまった。
「やっぱ隠し切れないから今伝えるっす。春。俺と付き合ってください」
――ん?
今光なんていったの? お、俺とつ、つつ、
「付き合ってください!?」
「うん。俺と付き合ってくださいっす」
わ、私から告白しようと思ったのに光に取られた……そうじゃなくて。
ひ、光も私の事思ってくれてたことを初めて知った。たしかに昔から好意に気づいていて無視していたけれど、光は私のことどう思ってるかわからなかった。それが怖かった。
だけれど光は告白してきてくれた。それが何よりもうれしかった。
「あ、あの答えを……」
光から答えの催促が来る。
私には断る理由がない。私は、素直にうなずいた。
「はい。よろしくお願いします。光」
ざーざーと振っていた雨が止んだような気がした。
まず私たちが付き合うことを伝えたのは小鳥遊さんだった。
小鳥遊さんにはいろいろと協力してもらったし、いち早く伝えようと思った。
「私たち付き合うことになりました! ありがとうございました!」
『お、まじでか。おめでと』
電話口で小鳥遊さんの祝福の声が聞こえる。
「これも小鳥遊さんのおかげです。夏休みの貴重な時間を私のために費やしていただきありがとうございました」
小鳥遊さんは嫌ともいわずに私の願いを引き受けてくれた。小鳥遊さんは優しい。私はそう思っている。
『気にすんなよ。俺も有意義に過ごせたと思ってるから』
そういう小鳥遊さんは本当に優しくてかっこいいと思う。自分のためになったと言ってくれて、私がしたことを否定しないでくれるのは嬉しかった。
私にとって勇気を出すというのは死活問題で、困っていたのだ。それを否定されたら私はもう、勇気出すことを怖くなるかもしれなかったから。小鳥遊さんの優しさがとてもうれしい。
『とりあえずおめでとう。光にもおめでとうと送っとくよ。じゃ、俺ちょっとこの後用事あるからこれで』
「あ、はい! 貴重な時間ありがとうございました!」
私はそう言って電話を切った。
最近スランプ気味になっております




