八月一日①
とうとう、八月一日になった。
私が朝起きてカーテンを開けると、窓の外はあいにくの雨模様。
「……私っていつもこうだなあ」
一人でつぶやく。何かを決意してもうまくいったためしがない。私は頑張っても最後の最後で神様に裏切られる。あげて落とすのが好きな神様だよね。
「……いいや。今日は遊園地をやめてお菓子作ろう」
告白できないまま今日が終わるのは嫌だ。せっかく小鳥遊さんたちから勇気をもらったのに。もらった勇気を無駄にしてまたいつものように臆病な自分に戻るんです。
私の努力は報われない。報われたためしがありません。
私が下に降りるとテーブルの上にご飯が置いてあった。私の家は両親共働きで二人とも一日中家にいないことのほうが多い。
いつも冷めたご飯を一人で食べて……自分で作ったご飯を夜食べて。ここ最近お母さんとお父さんと一緒に食べた記憶がありません。
「いただきます」
私は席に座りご飯を口に運ぶ。
お世辞にもお母さんはあまり料理がうまいとは言えない。だけれど、お母さんが早起きして作ってくれたんだから全部食べなきゃ。
黙々と食べていると、インターホンが鳴った。
――ああ、そうだ。今日宅急便届くからって話してたっけ。
きっと宅急便の人だろうとおもい、印鑑を用意して玄関に向かう。玄関を開けると、光がいた。
「春。おはよっす」
「ひ、光?」
訪ねてきた光の服はずぶぬれで会った。
家は隣同士のはずなのにこんなに濡れてるってことは外結構ひどいんだ……。
「ぬ、濡れてるじゃん。あ、あがって。タオル用意するから」
「すまないっすね。迷惑かけて」
またきた。光は、迷惑をかけるのが嫌なんだ。
私は昔から迷惑をかけるのが嫌いという光は嫌いだ。好きだからってすべて愛せるとは言わないよね……。私だって迷惑と思ってないんだけど……。
「春。今日遊園地いけなくなって暇になったからきたっす」
「暇になったからって……。私といても結構暇だと思うよ」
昔から私はつまらない奴といわれていたから、私といても暇を弄ぶだけだ。
昔から……。私は、何が取り柄なのかもよくわからない。つまらない人間で、一緒にいたくない人だ。私が言うのもなんだが、私は相当つまらない人間だと思ってる。
「そんなことないっすよ。結構楽しいっすよ?」
「……なら、いいけど。はい、タオル」
「せんきゅー」
タオルで頭を拭き、ぐちょぐちょになったシャツを脱いでもらう。
「洗濯賭けるから。ズボンも脱いで」
「すまないっすね。というか、ズボンも脱ぐんすか!?」
「じゃないとびしょびしょでしょ? 別にパンツぐらいなら昔から見てるし……」
「そうっすね。今更っすね」
といって光はズボンを脱いだ。
パンツ姿でソファに座る光。私はズボンと服を洗濯機にいれて洗濯機をまわす。ゴウンゴウンと音が鳴ったのを確認して今度はたまっている洗濯物を干すことにする。
母さんたちが家事出来ないから家事は私の仕事だ。これ終わったら送辞とかもしなければ。
やることがおおい。慣れてるけど疲れるのは変わりない。
「……ふぅ」
「手伝うよ」
と、光がきたかと思うとハンガーに洗濯物をかけ始めた。
手伝うよといってくれた。そのことはちょっとうれしかった。




