生徒会の本末①
なぜだか知らんが退学が取り消しになったようだ。たぶん空が働いてくれたからだろう。
学校来ると先生が大忙しに準備しており、生徒会を募るということと、権力廃止を掲げたポスターが貼ってあった。
俺がいない間になにやら一つ騒動があったらしい。
「久太くん。久しぶり」
「……といっても四日ぐらいだけどな」
連休になっただけで俺としては得。しかも、退学させた学校の不手際として単位はなくならず、今まで休んだりさぼったりした分はチャラということになった。
うーむ。なんだか逆に至れり尽くせりは気がしてならないのだが。
「そうだね。でも、寂しかったよ」
「……俺もだよ」
俺らは自然と手をつないでいた。
教室に行くと、隆たちが待ち構えていた。
「久太氏ーーーー!」
「おう。久しぶり」
「おひさっす」
「久しぶり……」
隆は俺に抱きついてきて、恭一郎と光は笑いながらも拍手を送っていた。というか、こいつら別のクラスなのに今の時間個々にいて大丈夫? もうそろ朝のホームルームが始まる時間だと思うのだが。
「生徒会に喧嘩なんて馬鹿な真似するからこうなるんだよ。心配した分返せよな」
「体でか?」
「そうだな」
「えぇ……。恭一郎はそういう趣味があったんすね……」
「嘘に決まってんだろ嘘に」
いつものように話し合える。
この空白の四日間はとても暇で仕方がなかった。寂しいとも思った。だから、尚更楽しいかな。料理でも空腹は最高のスパイスというがまさにそれ。空白の時間がこういう風に楽しみを作るのかもしれないな。
俺と非モテ集団。俺にはこれが必要だし、今はこの集団がないとダメだ。
たとえ俺たちが卒業して、それぞれの進路に別れたとしても、この時の体験は絶対にぬぐえないし、忘れがたい思い出にもなっていくのだと思う。まあ、これはただの自己満足だけれどね。
……こういう風にキレイに結論付けて生徒会のことは触れないでおいているが。
「小鳥遊。小鳥遊はいるか」
「あ、千早ちゃん」
「ん?」
俺の名前が呼ばれたのでそちらを見ると、どこかで見たような顔がある。
この顔はあの時いたな……。生徒会に所属していたやつだ。
「うーむ。私を見て顔が歪んだな……」
「久太くん。千早ちゃんは敵じゃないよ。寧ろ仲間。生徒会を追い込んだのは何を隠そう千早ちゃんなのです」
……そうなの? このいかにも生徒会の権力を振りかざしていそうな顔をしているこの子が生徒会を追い込んだ……。人を顔で判断するのはいけないらしい。気を付けよう。
「なるほど。誤解してごめん。で、俺に何の用?」
「……少し借りてくぞ。空」
「あ、うん。いいよ」
「ありがとう。ではこちらに」
俺は千早という子に連れられて教室を出て行った。




