夏だ!海だ!①
「夏だ!海だ!」
光が太陽が照りつけた砂浜を走っていく。
俺ら非モテ集団と西園寺さんは今、海に来ていた。家でぼーっとしていると海行こうと誘いが西園寺さんからあったため、非モテ集団を連れて遊びにきていた。
「水着回か…。ふむ、悪くないでござる」
「海ねえ。ほぼ裸の女が戯れるところか…」
ほぼ裸って水着なだけだろ。
でも、夏休みなだけあって人は多いな。結構泳ぎに来てる人がいる。
「とりあえず光に続くでござる!」
「ほら、久太もこい。西園寺さんも」
「あ、おう」
「うん」
俺たちも海へ向かい駆け出していった。
中に水着を着ているから別に今ここで脱いでも問題はないが、なんだか注目されていないか?
俺がイケメンだからかな?ふふ。そんな見るなよ。俺がイケメンだからって。
「っよし、泳ぐか」
俺は服を脱ぎ海パン一丁の姿になる。
あまり外に出ないために華奢な体つきをしているが、それは気にするな。
って、そういや西園寺さんの水着姿はどんなんだろう。
俺は横目で西園寺さんを見てみる。ちらっ。
そこに鎮座している豊満な胸。それを強調するかのような真っ白いビキニ。髪留めを口で咥え結おうとしている彼女。
ぶふっ。鼻血でそう。
「なに?早く私と泳ぎたいのかな」
俺の視線に気づいた西園寺さんは柔らかい笑みで近寄ってくる。
そして、俺の腕に抱きついた。
……俺、もう死んでもいいっす。満足できたっす。
「さ、泳ごっか」
「お、お、おう」
俺は出来るだけ胸の方をみないよう海辺まで歩いてくる。
海辺。引いては押し寄せてくる波。足に波が当たる。
「つめたっ」
「暑い夏にぴったりだな」
既に非モテ集団は遊んでいる。
イルカの浮き物をぶつけ合ったりしている。もちろん俺はボートを持ってきた。
このボートに乗って…。寝るか。
「ゆっくりと遊覧……」
俺は目を閉じる。
ここで寝るというのもなかなかいいものだ。まあ、確実に日焼けすると思うけど瑞穂に「日焼け止め塗ったほうがいいよ」と言われたので塗ってきました。
「えいっ」
「つめて!」
水をかけられた。
くっ、やりやがったな。くらえ!
俺は手で水をすくいかけてあげた。
そしてまた横になる。すると今度は上からイルカが降ってきた。
「久太氏に天誅ーー!」
「やめ、あ、これ横転す」
案の定横転し、俺は海へと落ちた。
ドボンとデカイ水柱を立てて。
プカーっと水面に浮かぶ。あ、危うく死ぬとこだった…。怖え。
「あはは!なんだよその焦った顔!」
「普段じゃ見られないっす!ぎゃははは!」
「ぷっ。そ、その…わ、笑っちゃいけないんだと思うけど……ごめん」
……。
てめえらも同じ目にあわせてやるこんにゃろ!まずは隆。お前からだ。お前から海に沈めてやる。何か言い残すことはあるか?
「きゅ、久太氏?目が怖いでござるよ?」
「てめえらぶち殺す!」
「ぎ、ぎいやああああ!」
隆を持ち上げ海にぶん投げる。そのあと恭一郎を一本背負いで海にぶん投げる。光は腹パンで海に沈める。
「もしかしてお前らはまだ、自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?」
ふふふ。とことん遊びつくしてやるよこの野郎。
「いいなあ、海……」
学校にいる瑞穂は補習中にそうこぼしていた。
瑞穂は補習のせいで海に行けなくなり、少し落ち込んでいた。
兄の水着姿を楽しみにしていたのは言うまでもない。
「ぐうう……。私も行きたかった」
「こら。そこ喋らない」
「……ちっ」
「舌打ちしたろ」
「してません」
「……ちっ」
先生こそ舌打ちしてるのは気のせいですか。そうですか。




