今度は私の番
喫茶店。他の客も寄り付かなくなるほど雰囲気が悪い席が一つ。
千早と空が座っている席だ。
空は、千早を睨んでいる。千早は、ほうじ茶を啜った。
「……先日はすまなかった」
千早が頭を下げる。
「…本当に謝りたいのなら久太くんの退学を取り消してよ」
「それは……無理だ。あたしにもできない」
「だったら!」
空は思い切りテーブルをたたいた。
ドンっと店内に音が響く。空は周囲のことを気にする暇もなく、怒っていたのだった。空の剣幕に周囲は押されるばかりである。
「……だったらなんで謝りに来たの! 謝ることで許されると思わないでよ!」
空は叫んだ。
千早は痛いほど理解していた。千早自身も謝って許されるものじゃない。そうは感じていたが、生徒会の無礼を許すこともできず、謝罪を述べる。そういう形をとっていた。
「久太くんは復学にはならないんだから……。こんなふうになるなら私はこの学校来なければよかったよ。生徒会なんて……なくなればいいのに」
そう言い残して去っていった。
その時に、案が思い浮かんだのだった。
「なくなればいい……。それだ。その手があった」
生徒会をなくそうと、千早は決心したのだった。
そうと決めると、千早は空を追いかける。金をレジに乱暴におき、走って空を追いかけた。空はまっすぐ進んでいて、速度も遅かったから走るのは得意な千早はすぐに追いつく。
「……なに」
空は不機嫌な顔で千早を見た。
息を切らし、千早は空の肩を掴む。
「あたしも協力するから、生徒会を潰して小鳥遊に戻ってきてもらおう」
千早はそういうと、空は驚いたような目をしている。
「そ、そんなことできるの……?」
「できる。一つだけ今の生徒会を終わらせる方法が」
千早は不敵に笑う。もう、千早には覚悟はできていた。自分でも生徒会長は説得できない。ならば、自分がやることは何か。それは……。
空はその作戦に大きくうなずいたのだった。
「だが、この作戦には人数がいる。できるだけ署名を集めてくれ。あたしは生徒会という肩書で自由に動けないから頼んだ」
「う、うん。生徒会にも貴女みたいないい人がいてよかったよ。署名は集めておくから」
といって、朝の学校での打ち合わせは終わる。
空は誰も来ていない朝の廊下を歩きながら作戦を思い出していた。
「生徒数の過半数の署名が最低でも必要だったよね。これは疲れるけど、やるしかないなあ」
あの時の久太くんは物おじせず生徒会に立ち向かっていた。空は久太に対しての想いが一層深まったときでもある。
(物おじせず、優しくて、かっこよくて。私はやっぱり久太くんの事好きだなあ)
そのことが実感できる。
(久太くんは私のことをいつも守ってくれてるし助けてくれてる。今度は私の番だよね)
自分も久太を助ける。そう決心した空であった。
この話には主人公(久太)は東城出来てないですねえ。というか、この先出るのかな。この章ではもう最後くらいしかでないんじゃあないかな。




