久太と昨日の少女
「小鳥遊ー、西園寺ー!一緒に飯食おうぜ!」
珍しく百瀬さんが俺らを飯に誘ってきた。
空は、笑顔でわかったといって、弁当を持っていく。俺もそれについていった。
で、俺が食べていると教室のドアが開かれる。
「あ、あの、小鳥遊くんいますか」
「俺?」
訪ねてきた子は昨日助けた子だった。名前は…確か三橋といったな。
三橋さんが俺の元を訪ねて来る。手には何か持っていた。お弁当?
「あ、あの。昨日のお礼として弁当を作ってきたので是非食べてください!」
といって、弁当を押し付けられて去っていった。
う、うーん。こういうこと、空の目の前ではやって欲しくなかった。弁明をしなきゃならないな……。
俺は空のところに戻ると、空は不機嫌そうな素ぶり…は見せてこなく、逆に首を傾げていた。
「あの子、誰?」
「あ、ああ。昨日助けた子だよ。俺とぶつかって怪我させたみたいでさ。手当てしてやったんだよ」
「そうなんだ。で、そのお礼としてその弁当を作ってきたと。律儀な子だね」
「そうだな」
まあ、作ってもらったんだし食べておくか。
「でもさっきのやつ結構可愛かったな。クラスの奴らも見惚れてたぜ?」
「たしかに可愛いけど…うーん。なんか、あの子危険な予感がするんだよね」
「なんかセンサーついたんかな。俺もなんか嫌な予感しかしねえ」
本宮のせいで危険人物センサーがついたかもしれない。
ご飯を食べ終わり、俺は空と百瀬さんと談笑していると、また、さっきの子が訪ねて来る。
今度は教室のドアの前ではなく、教室に入ってきたのだった。
「そ、その!べ、弁当のお味はどうでしたか?お、お口に合いました?」
「美味かったよ。ありがとさん」
「……!そう言ってもらえて嬉しいです!あ、明日も作ってきます!」
「いや、いいよ。迷惑でしょ?」
「いえ!全然迷惑じゃないです!」
うーむ。引かないなこの子。
もう、言うしかないか。こういう子にはあまりいいたくないんだけもさ。
「いや、いいよ。俺の彼女が毎日弁当を作ってきてくれるからさ」
「……彼女?」
「あ、うん。西園寺 空って言います。よろしくね」
と、会釈をしていた。
それを聞いて、少しぶつくさいっている。何を言ってるかは聞こえなかったが、何か言ってることはわかった。
「三橋さん?」
「はっ、いえ。そうですか。可愛い彼女さんが作ってきてくれるのですね。私の弁当はいらないと、そう言うんですね」
「あ、ああ」
「わかりました」
そう言って彼女は去っていった。
俺はまた、空の方を向く。横目でチラッと見てみると、さっきの子がこちらを睨んでいるような気がした。
「ありえない。彼女……。潰す。彼女の信用を落としてやる……。あのイケメンは私のものだ。あんなブサイクな女には渡さない」
それを聞いている女もいた。
「……イケメン?きゅーたのことだな。誇らしい。さすが俺の夫だぜ」




