久太と怪しい女
昼休み立花に久しぶりに会った。
そして、今は、なんか、ヘンな女子が目の前にいる。
容姿は、空と負けず劣らずくらいか? きちんと手入れされている肌にぷるぷるの唇。小動物を思わせるかのような小柄な体型と雰囲気。
その女の子に、ぶつかられたのだ。
「す、すいませんっ! わ、私前見てなくて」
「い、いいけど……。大丈夫か?」
「は、はい……。いてて……」
「怪我、してんのか?」
「は、はい」
どうやら怪我しているらしい。
抑えている足を見ても特に何も以上は見えないんだけどさ。もしかして捻ったのだろうか。だとすると青い痣ができると思うけど……。
謎だ。
だが、足を痛めているっぽい。
「しゃあないな。先生呼んでくるから……」
「い、いえ! その、運んでくれると嬉しいです……。ちょっと痛みに長時間耐えられなさそうで……」
まじか。
俺女の子を運ぶってしたことないぞ。お姫様抱っことかすればいいのだろうか。おんぶ? うーむ。こういうのは普通竜太郎にだな……。
ま、まあいいか。とりあえず……。
「歩けるか?」
「む、無理そうです」
となるとやっぱおんぶか……。
「じゃ、おんぶするからな」
「あ、あの、どうやって私をおんぶするのですか?」
「……」
そうだ。どうやって背中に乗っけるんだよ!?
となるとやっぱお姫様抱っこだろうか。しゃあない。怪我してる人、見過ごすわけにはいかないからな。
「じゃ、わかったよ」
俺は持ち上げる。小柄の体型だから軽い。俺は、歩き出した。
保健室につくと、先生がいない。こんな時に限っていないのか……。手当も俺がしてやるかね。少しは出来ると思う。氷で冷やして、包帯巻いてとか。これでいいんだよな?
「んじゃ、手当てするから足出して」
「は、はい」
俺は勝手に包帯を拝借させてもらう。
包帯でぐるぐるに巻いた。とりあえず応急処置的なものはこれでいいな。よし、帰ろう。
「それじゃ保健室の先生が来たらきちんと処置してもらってな。俺は帰るから」
そういうと。
「ま、待ってください!!」
引き留める声がする。
その少女が、俺を引き留めたのだ。少女は少し過呼吸気味に息を荒げている。なんで疲れてるんだろうかとか、そういうことが気になったけれど聞かないことにした。
「あ、あなたの名前を教えてください。私は三年の三橋 輝美といいます」
「俺は小鳥遊 久太だけど……。俺のこと知らないの?」
「は、はい。私転校してきたばかりなので」
なるほど。転校生か。
「あ、あの、今日のお礼をしたいので後日、お礼をもっていきますね!」
「別にいいよ。お礼は。ただの善意だし」
「い、いえ!! 私がしたいんです!」
と、譲らない。
しょうがないので俺はわかったと告げて去っていった。
「よしよし。あのイケメンを攻略して……。ふふ。私に堕ちない男なんていないもんね。絶対私のものにしてみせる。なんてったって私が一番かわいいヒロインだからね。ふふふ」




