閑話 伝説の勇者(笑)
ぼうけんのしょ1:きゅうた
おきのどくですが
ぼうけんのしょ1ばんは
きえてしまいました
「久太氏! 見舞いにきたでござるよ!」
ベッドで一人テレビを見ていると突然隆たちが押し掛けてきた。
片手には紙袋をもって。結構デカいからたくさん買ったのだろうなと思い、俺は座れという。というか、それぞれが別にお見舞いの品があるらしい。
まずは隆から渡してきた。
「……これは?」
「病室には華がないと思って『ごちねこ』のピノちゃんポスターでござる!!」
でかいポスター。これを病室に貼れってか。
というか、なんで『ご注文はねこですか?』のピノちゃんなんだよ。というか、こんなの貼れねえよ! 隣でその幼女……もとい、会長の妹さんが寝てるのに! 悪影響を及ぼしてどうする!
いや、確かに可愛いよ? うん。俺はピノちゃん好きだしね? でも、これ、子供の教育に悪い。ただ、断るのもなんだか申し訳ないので受け取ることにはした。
「次は俺っす!」
と、光をみてみるとすごい大きさの紙袋。
何が入っているんだろう。というか、何を出すつもりなのだろう。わからないけど、なんだか嫌な予感がしてきたぞ。
「俺はプラモをもってきたっす! 入院中は暇だと思ったんで」
と、案外まともだった。
確かにいいかも。接着剤さえ使わなければいいし、塗装もしなければシンナー臭くはならないから。
「戦車、戦闘機、ロードローラー、ガン〇ム、大阪城、潜水艦、ミサイル。で、ラジコンのプラモに……」
と、紙袋から次々とプラモを出してきた。
ああ、嫌な予感は当たっていた。プラモ多いよ!? どんだけ作らせるんだよ!? まさかの一日一個!? どんなペースだよ!?
やばい。紙袋からはドラ〇もんの四次元ポケットのように結構出てくる。そのおかげでテーブルは埋まっていた。というか、積み重ねられていた。
「ふぅ。これで全部っす。これ集めるのに結構金かかったんすからね?」
「……おいくら?」
「うーん。プレミアもあるっすから……十万以上はしたっすね!」
……作りたくないし触れたくもねえ!?
お見舞い如きにそんな金出すなよ!? というか、プレミアって! 普通のおもちゃ屋で売ってるような安い奴でいいんだよ!?
俺は返そうと光を見る。
「あ、ありがとう」
でも、きらきらとした目で見つめられると断りづらい。
……もらっておこう。そして、作っておこう。うう。
「最後は俺だな。俺はこれだ」
といって恭一郎は袋から何かをとりだす。
それは、剣だった。だけど、それには見覚えがある。
「……ロトの剣?」
「正解」
なんでロトの剣!? 勇者になれってか! というか、これをお見舞いに持ってくる意味が分からないんだけど!?
あれか? この剣で魔を切り払えとでもいいたいのか? なら、そういう風に解釈してもらっておこう。どちらにせよ、断れる雰囲気じゃなさそうだし。
「でな、まだある」
といって出してきたのは鎧、盾、兜。そしてしるし。ロト装備一式である。
なんだろう。もう、完全にコスプレさせようとしてないだろうか。なんだこれ。俺がこれきたって防御力あがらないし、そもそもこの世に魔物はいないぞ。
「これで魔王を倒してきてくれ」
なんでだあああああ!? 魔王!? そんなのこの世にいねえよ! なに? 竜王でも倒して来いっていうの?
「それは嘘だ。まあ、これ着て防御力を高めろ」
そういうことね。まあ、着ないよ? なんで私生活で鎧着る必要あるの? そんなに危険がいっぱいなの?
というか、それならこれじゃなくてスカラをかけてください。そして、やれるならベホマもお願いします。
キョウイチロウは ザラキを となえた!
しかし きかなかった!




