幸せの本質
那智ちゃんは幸せだといった。
那智ちゃんは構ってくれるお姉ちゃんがいてそれは幸せのように感じているだろう。病気だということにも負けず、お姉ちゃんがいるから幸せだと感じているのだ。
まずは、その意識から取り除かなければならない。
那智ちゃん自信が今は不幸だと思わなければ、俺から見ても幸せとは感じなくなるだろうな。
本当の幸せとか、俺らはまだ知らない。幸せの本質を、俺ら人間は知らずにいるのだ。
「那智ちゃん。今日はお勉強をしよう。北海道について」
「勉強?」
「そう。俺が北海道に関するクイズを出すから答えてね。簡単なものだからそんな考えないでいいよ」
「う、うん」
不安げにうなずく。
まずは簡単なの行くか。
「第一問。なまらの意味はなんでしょう」
「わかった! とてもって意味!」
「正解。これは簡単だね。じゃあ次。この中で北海道限定なのはどれでしょう。一、やきそば弁当。二、ペヤング。三、U.F.O.さあどれ?」
「う、うーん。に?」
「ふせいかーい。正解は一、だよ」
「そうなの? 私やきそば弁当好きなのに……。東京の人たちとか損してる」
「そうだね」
損は……まあ、しているほうか。結構うまいぞ焼き弁。
湯切りの時に使うお湯で作るコンソメスープ。あれ結構好き。
「それじゃあ、ちょっとグレードアップするかなー」
「ぐれーどあっぷ?」
「すこしむずかしくなるってことだよ」
「そうなんだ。よし、次も答える!!」
結果でいうと、那智ちゃんは結構頭がいいことが分かった。
俺はご褒美を買うために下に降り、売店でカツゲンを買ってくる。ここの売店カツゲン置いてあるんだな。俺結構好きだからありがたいが。
「カツゲンも北海道限定なんだぞ。知ってたか」
「そうなの? こんなにおいしいのに」
そうだよなー。カツゲン美味しいのになー。
二人でカツゲンを飲んでいると、ホールに見知った顔が見えた。あれは宮古さんだ。隣には光がいる。幼馴染同士が何で来ているのだろう。見た限り宮古さんが体調悪そうに見えるんだけどね。
まあ、今は話しかけないでおこう。
俺はカツゲンを飲み干した。
「お兄ちゃん飲むの早い」
「そりゃ大人だからな」
「大人になったら誰でも飲むの早くなるの?」
「……」
そうとも限らないんだよなあ。大人だってちまちま飲むやつもいるし。飲むの早いってことが一概に大人とは言えないよなあ。
「まあ、大人とは言えないが大きくなったっていう証拠だな」
「そ、そうなんだ。じゃあ私も大きくなりたいな」
「いずれかなれるよ。生きてたらね」
「……うん」
「何か怖いことがあるなら俺が相談に乗るよ。なにがあったんだ?」
うつむく少女に俺は問いかけた。
まずは、自分が不幸だと認識させる。そこからだろう。鬼のようだが、これは会長の頼みだ。
「なげといて」って北海道の人に言われて本当に投げたらだめですからね。「なげといて」は捨てておいてってことですからね。これは余計な話ですが。




